セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-その他 2

タイトル 外P-38:

術前治療後進行食道癌における節外浸潤リンパ節転移の臨床的意義

演者 金城 達也(琉球大・1外科)
共同演者 下地 英明(琉球大・1外科), 長濱 正吉(琉球大・1外科), 狩俣 弘幸(琉球大・1外科), 西巻 正(琉球大・1外科)
抄録 【目的】近年,進行食道癌に対して術前化学療法あるいは術前化学放射線療法が積極的に導入されてきた.しかし節外浸潤を伴うリンパ節転移(ECI)の意義は明らかではない.今回,術前治療後に根治切除が施行された食道癌症例について,ECIの存在状況と臨床病理学的諸因子および術前治療奏功程度との関連性について検討し,術前治療が施行された進行食道癌におけるECIの臨床的意義について考察した.【方法】2002年4月~2011年7月までに系統的リンパ節郭清を伴う根治術が施行された80例の食道癌症例を対象とした.このうち42例に術前治療(術前化学療法29例,化学放射線療法13例)が施行された.切除リンパ節2362個に対して統計学的に検討した.【結果】80例中,リンパ節転移(pN)は44例(55.0%),ECIは27例(33.8%)にみられた.ECIは術前治療なし群で21.1%,術前治療あり群で45.2%に認めた.またECIは全症例でcT,cN,cStage,pN,pStage,術前治療なし群でpN,pStage,術前治療あり群でpN,pStageとそれぞれ有意に相関していた.しかし,ECIは術前治療後の腫瘍縮小効果(奏功率:化学療法70.4%,化学放射線療法61.5%)との相関はなかった.全症例での5生率はECI陽性群で有意に予後不良であった(24.4%vs.68.6%,p=0.001).また術前治療あり群でもECI陽性群では有意に予後不良であったが(70.7%vs.15.1%,p=0.002),術前治療なし群では両群に有意差をみとめなかった.単変量解析では全症例でcT,pN,pStage,ECI,術前治療なし群ではcT,pStage,術前治療あり群では,pN,ECIが予後不良因子となり,さらに多変量解析ではECIは全症例および術前治療あり群で独立予後因子であった(p=0.001, HR=2.5, 95%CI=1.187-5.228, p=0.002, HR=7.6, 95%CI=1.187-5.228).【結語】術前治療後においても節外浸潤リンパ節転移症例は予後不良である.また術前補助療法が奏功しても節外浸潤リンパ節転移症例は予後不良であり,新たな治療法の開発が必要と考えられる.
索引用語 食道癌, リンパ節転移