セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-その他 2

タイトル 外P-39:

食道癌手術例における予後予測因子としてのフィブリノゲンの有用性

演者 松田 諭(慶應義塾大・一般消化器外科)
共同演者 竹内 裕也(慶應義塾大・一般消化器外科), 川久保 博文(慶應義塾大・一般消化器外科), 中村 理恵子(慶應義塾大・一般消化器外科), 高橋 常浩(慶應義塾大・一般消化器外科), 和田 則仁(慶應義塾大・一般消化器外科), 才川 義朗(慶應義塾大・一般消化器外科), 大森 泰(慶應義塾大・一般消化器外科), 北川 雄光(慶應義塾大・一般消化器外科)
抄録 【目的】フィブリノゲン(FNG)は,近年食道癌において,癌の進展や予後との関連が報告されている.今回我々は,術前化学(放射線)療法を施行した食道癌手術例における再発予測因子としての,血漿FNGの有用性に関して検討した.【方法】2000年から2010年に,当院で術前治療後に根治手術を施行された食道扁平上皮癌症例68例を対象とした.術前化学療法は,5-FUとシスプラチン (FP療法) を行い,術前化学放射線療法は,FP療法に46Gyの分割照射を加えた.同集団における,治療前病期,術前治療前後の血漿FNG値とその変化を集積し,それらと臨床病理学的因子,術前治療の奏効,術後再発との関連を検討した.【成績】手術前(術前治療後)の血漿FNGは,348.6±83mg/dl(平均±SD)であったため,FNG>350mg/dlをFNG高値と定義した.術前治療前後のFNGの変化に関しては,37例(54%)において増加していた.術後再発との関連に関しては,単変量解析において,術前FNGとFNGの変化が有意な術後無再発生存に関する規定因子となった.さらに,その2つの因子により,母集団を4群に分類し,術後無再発生存期間を検討した.術前FNGが高値かつ,術前治療前後でFNGが上昇した群において,有意に術後再発率が高かったのに対し,術前FNG<350mg/dlかつ,FNGが減少した群において無再発生存期間が長かった.このFNGによる分類は,Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析において,術前治療の奏効と並び,独立した予後規定因子となった(HR=1.812, p=0.013).【結論】食道癌手術例において,血漿FNGにより術後再発リスクを分類することができた.FNGは日常臨床で,比較的簡便に測定することができる項目であるため汎用性も高く,術後再発予測のためのバイオマーカーとして有用であると考えた.
索引用語 食道癌, フィブリノゲン