セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-その他 3

タイトル 外P-43:

食道癌術後肺炎のリスクとサイトカイン遺伝子多型との関連

演者 坂本 和彦(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
共同演者 武田 茂(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 北原 正博(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 兼清 信介(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 渡邊 裕策(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 筒井 理仁(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 吉野 茂文(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 硲 彰一(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学), 岡 正朗(山口大大学院・消化器・腫瘍外科学)
抄録 食道癌術後の肺炎は致命的となる場合もあり,周術期管理の徹底,手術の低侵襲化を行っているが依然その頻度は高い.今回,サイトカイン遺伝子多型(以下,多型)を測定し,食道癌術後のサイトカイン産生と肺炎リスクとの関連を検討した.【対象】1997年から2011年までの間の食道癌手術(右開胸開腹食道亜全摘胃管再建術)を施行した165例.【方法】対象患者のDNAよりTNFα(-1031C/T),IL-1β(-511C/T),IL-6(-634C/G),IL-10(-819C/T),IL-18(-137G/C),MIF(-173 G/C)の遺伝子多型をPCR法によって検出した.また術直後,術1日,3日後の血中IL-6/IL-10値(pg/ml)をELISAキットで測定した.血中IL-6/IL-10値ならびに術後肺炎と多型との関連を検討した(カットオフは中央値,p<0.05で有意差有り).【結果】術後肺炎は45/165例(27.3%),縫合不全は14例(8.5%),創感染は23例(13.9%)に認めた(重複あり).術後合併症(肺炎,縫合不全,創感染)のない100例で血中IL-6/IL-10値と多型との関連を検討したところ,IL-6値はTNFα多型(術直後:TT 1218 vs. CT+CC 1562),IL-1β多型(術直後:CC 1103 vs. CT+TT 1444)で有意差を認め,IL-10値はIL-10多型(術直後:TT 7.6 vs. CT+CC 12.2,術1日:TT 8.1 vs. CT+CC 10.1,術3日:TT 3.9 vs. CT+CC 5.3)で有意差を認めた.多型ならびに各種臨床病理学的因子(年齢,性別,BMI,病期,術前化学療法,手術時間,出血量,腹臥位胸腔鏡操作,リンパ節郭清,術後早期経腸栄養)と肺炎との関連をロジスティック多変量解析した結果,年齢(64才以上),手術時間(452分以上),腹臥位胸腔鏡操作(なし),リンパ節郭清(D3),IL-1β多型(CT+TT),IL-10多型(TT)が有意に独立した危険因子であった.【結語】サイトカインの産生は多型(TNFα,IL-1β,IL-10)によって変化する可能性が示唆された.術後肺炎のリスクに各種臨床因子の他,多型(IL-1β,IL-10)が関連していた.術前の多型の解析による術後管理の必要性が示唆された.
索引用語 遺伝子多型, 術後合併症