セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-その他 3

タイトル 外P-45:

血清p53抗体によるBarrett食道腺癌スクリーニングの可能性

演者 島田 英昭(東邦大・一般・消化器外科)
共同演者 谷島 聡(東邦大・一般・消化器外科), 大嶋 陽幸(東邦大・一般・消化器外科), 岡住 慎一(東邦大医療センター佐倉病院・外科), 伊藤 正朗(東邦大・一般・消化器外科), 船橋 公彦(東邦大・一般・消化器外科), 名波 竜規(東邦大・一般・消化器外科), 金子 弘真(東邦大・一般・消化器外科)
抄録 【背景と目的】p53分子異常は,Barrett食道腺癌で最も頻度の高い分子異常である.我々が開発した血清p53抗体検査法はp53分子異常を数値化してモニタリングできる簡便な血液検査であり食道癌診療に応用されているがBarrett食道腺癌のデータはほとんどない.そこで,PUBMED検索によるBarrett食道腺癌の報告ならびに,胃腺癌・食道扁平上皮癌の解析データから血清p53抗体によるBarrett食道腺癌スクリーニングの可能性について考察する.【対象と方法】PUBMED解析対象論文は,[Barrett esophagus] and [p53]をキーワードとして検索した263文献であり,血清p53抗体に関する報告は1件(Cawley et al. Gastroenterology 1998)である.独自にp53抗体を測定した食道腺癌2例ならびにstage I胃腺癌158例,stage I食道扁平上皮癌26例の解析結果から作業仮説を提示する.血清p53抗体は基準値1.31U/ml以上を陽性とした.【結果】PUBMED検索文献では,p53は癌化初期段階から異常発現を認め腺癌では60~70%の陽性率であり,タンパク過剰発現は遺伝子治療との相関が報告されている.我々の食道腺癌は2例とも血清p53抗体が10U/mlを超える高値であった.stage I胃腺癌とstage I食道扁平上皮癌における陽性率は14.6%,23.1%であり,進行癌では30%前後であった.胃腺癌ならびに食道扁平上皮癌の経験からp53タンパク過剰発現を伴う腫瘍ではsm浸潤の段階から血清抗体が陽性となることがある.食道腺癌症例の1例は治療前抗体価が200U/mlを超える高値であり,治療経過を正確に反映して化学療法後の根治手術により徐々に低下した.【考察と結語】p53免疫染色がBarrett食道の診断・フォローアップに有用であることから血清p53抗体がBarrett食道腺癌の診断に有用である可能性が高い.少数例での検討ではあるが,Barrett食道腺癌におけるp53抗体価は治療経過をよく反映した.今後,多施設での前向き研究により有用性を検証したい.
索引用語 p53抗体, 食道癌