セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

食道・咽頭-その他 3

タイトル 外P-46:

食道癌術前化学療法におけるエレンタールゼリー投与の有用性の検討

演者 塩崎 敦(京都府立医大・消化器外科)
共同演者 藤原 斉(京都府立医大・消化器外科), 窪田 健(京都府立医大・消化器外科), 小西 博貴(京都府立医大・消化器外科), 村山 康利(京都府立医大・消化器外科), 小松 周平(京都府立医大・消化器外科), 栗生 宜明(京都府立医大・消化器外科), 生駒 久視(京都府立医大・消化器外科), 中西 正芳(京都府立医大・消化器外科), 市川 大輔(京都府立医大・消化器外科), 岡本 和真(京都府立医大・消化器外科), 大辻 英吾(京都府立医大・消化器外科)
抄録 【諸言】JCOG9907の結果,Stage II・III食道癌症例では5FU+CDDPによる術前化学療法によって全生存期間が改善することが示された.一方,その副作用である口内炎・嘔気・食思不振などによる栄養障害は術後経過に影響を及ぼす可能性があり,術前栄養管理の重要性が示唆される.我々は食道癌術前化学療法施行症例を対象とし,エレンタールゼリーを用いた術前栄養管理に関する無作為化比較試験を行っており,今回その途中経過を報告する.【方法】2010年以降,5FU+CDDP(2クール)による術前化学療法を要する胸部食道癌症例を術前エレンタールゼリー摂取群(n=5)と,非摂取群(n=5)に無作為に分類し,エレンタール服薬状況・栄養指標・術後経過等を比較検討.なおエレンタールゼリーは,通常食に加えて化学療法開始から手術前日まで,300kcal/dayを可能な限り服用.【結果】エレンタールゼリーの摂取状況を解析すると,化学療法剤投与中に摂取低下する症例を認めたものの,全期間中のエレンタールゼリー摂取率は82.4±13.4%と比較的良好であった.両群の背景因子(年齢・性別・術前BMI・臨床病期・併存疾患),手術因子(郭清領域・手術時間・出血量)に差を認めず.化学療法中の有害事象(好中球減少・食欲不振・肝腎障害等)の発生率に差を認めず.術後栄養指標(体重・総蛋白・アルブミン・総コレステロール・ヘモグロビン),術後炎症指標(白血球数・リンパ球数・CRP),縫合不全・創感染等の術後合併症発生率や術後在院日数には,両群で差を認めなかったが,術翌日のAST・Cr値の上昇が,エレンタールゼリー摂取群で有意に抑制される傾向があった.【結語】食道癌術前化学療法期間中のエレンタールゼリー摂取状況は良好であった.現在のところ,術後栄養指標・炎症反応・合併症への有効性は明らかでないが,術後肝腎機能に影響を及ぼす可能性が示唆され,今後さらに症例を重ね検討を行っていく予定である.
索引用語 食道癌, 術前化学療法