セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-手術治療 1

タイトル 外P-48:

AFPとPIVKA-IIの積=AP値の肝細胞癌切除例における術前予後・再発予測因子としての意義

演者 神山 俊哉(北海道大大学院・消化器外科学分野I)
共同演者 横尾 英樹(北海道大大学院・消化器外科学分野I), 柿坂 達彦(北海道大大学院・消化器外科学分野I), 若山 顕治(北海道大大学院・消化器外科学分野I), 蒲池 浩文(北海道大大学院・消化器外科学分野I), 敦賀 陽介(北海道大大学院・消化器外科学分野I), 武冨 紹信(北海道大大学院・消化器外科学分野I)
抄録 【目的】組織学的門脈侵襲,分化度は肝細胞癌切除例の予後,再発に関係する不良因子だが,切除後の組織学的検査で診断され,術前に正確に知ることは不可能である.AFP値,PIVKA-II値とAFP値とPIVKA-II値の積(AP値)を術前に知り得る予後・再発予測因子としてその意義を検討した.【方法】1998年1月から2006年12月まで当科で切除された肝細胞癌360例を対象とした.術前に知り得る性別,年齢,血清アルブミン,血清ビリルビン,ICGR15,AFP,AFP-L3,PIVKA-II,AP値,腫瘍個数,腫瘍最大径,肉眼的血管侵襲,系統的切除の有無と生存,再発との関係を検討した.【成績】生存に関与する項目を単変量解析すると,血清アルブミン値,AFP値,AFP-L3値,PIVKA-II値,腫瘍個数,腫瘍最大径,肉眼的血管侵襲が有意因子であった.多変量解析では血清アルブミン値,腫瘍個数,腫瘍最大径,肉眼的血管侵襲が有意因子として選択され,AFP,PIVKA-IIは選択されなかったが,AFPとPIVKA-IIを積算したAP値で,1X100000以上(APH),1X100000未満(APM),AFP値200ng/ml未満かつPIVKA-II値100mAU/ml未満(APL)の3群に分け検討するとAP値は単変量解析,多変量解析とも有意因子であった.再発について単変量解析すると,血清アルブミン値,AFP値,AFP-L3値,PIVKA-II値,腫瘍個数,腫瘍最大径,肉眼的血管侵襲が有意因子であった.多変量解析では血清アルブミン値,腫瘍個数,腫瘍最大径,肉眼的血管侵襲が有意因子であり,生存と同じく,AFP,PIVKA-IIは選択されなかったが,AP値では単変量解析,多変量解析とも有意因子として選択された.多発例に対する肝切除では,APL,APM,APHの5年生存率は64.4%,50.9%,21.8%であった.【結語】術前像診断による腫瘍個数,腫瘍最大径,血管侵襲から術前に予後,再発を推定できるが,AFPとPIVKA-IIを積算したAP値も有用な予後,再発予測因子である.多発肝細胞癌でもAP 値が低い症例では長期予後が期待できる.
索引用語 肝細胞癌, 腫瘍マーカー