セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-手術治療 1

タイトル 外P-50:

3cm,3個以下の肝細胞癌に対する肝切除,生体肝移植の治療成績

演者 福島 健司(神戸大・肝胆膵外科)
共同演者 木戸 正浩(神戸大・肝胆膵外科), 福本 巧(神戸大・肝胆膵外科), 高橋 応典(神戸大・肝胆膵外科), 武部 敦志(神戸大・肝胆膵外科), 田中 基文(神戸大・肝胆膵外科), 蔵満 薫(神戸大・肝胆膵外科), 木下 秘我(神戸大・肝胆膵外科), 小松 昇平(神戸大・肝胆膵外科), 浦出 剛史(神戸大・肝胆膵外科), 宗 慎一(神戸大・肝胆膵外科), 松本 逸平(神戸大・肝胆膵外科), 味木 徹夫(神戸大・肝胆膵外科), 具 英成(神戸大・肝胆膵外科)
抄録 【目的】3cm,3個以下の肝細胞癌(HCC)に対する肝切除ならびに生体肝移植の手術成績について検討し,その適応と今後の課題について考察する.【方法】2005年1月から2010年12月までに当科において3cm,3個以下のHCC症例に対して施行した初回治癒肝切除64例,生体肝移植13例を対象とし,疾患特異的生存率,再発率,全生存率,死因について検討した.観察期間中央値は50ヵ月であった.【結果】平均年齢は肝切除群67歳,生体肝移植群59歳で,男/女比はそれぞれ14/50例,4/9例であった.成因(HBV/HCV/NBNC)は肝切除群で11/42/12例,生体肝移植群で3/10/0例であった.Child-Pugh分類(A/B/C)は肝切除群58/6/0例,生体肝移植群5/6/2例であった.肝切除群および生体肝移植群の1年,3年,5年疾患特的生存率はそれぞれ[96.8%,91.7%,85.5%],[100%,77.8%,77.8%](P=0.595)と有意差はみられなかった.1年,3年,5年再発率は[23.0%,47.5%,61.0%],[10.0%,21.3%,21.3%](P=0.039)と生体肝移植群で有意に低かった.しかし,1年,3年,5年全生存率では肝切除群および生体肝移植群でそれぞれ,[92.2%,84.1%,74.3%],[76.9%,46.2%,46.2%](P=0.040)と生体肝移植群で有意に低くかった.観察期間内死亡例の死因内訳は,肝切除群では18例中,癌死8例(44.4%),肝不全死2例(1%),その他8例(44.5%)であるのに対し,生体肝移植群では合併症による死亡が5例(感染症3例,グラフト機能不全2例)(71.4%),癌死2例(28.6%)であった.【結論】肝切除例と生体肝移植例では術前肝機能が大きく異なるため治療成績の厳密な比較はできないが,今回の結果から,現時点では3cm,3個以下のHCCに対する治療では肝切除を優先させるべきであり,肝機能不良のため切除ができない場合のみ生体肝移植を考慮すべきと考えられた.また,生体肝移植後合併症への対策が今後の課題である.
索引用語 肝細胞癌, 肝移植