セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-手術治療 1

タイトル 外P-51:

EOB-MRIの導入前後における乏血性早期肝細胞癌の診断能と進行型肝細胞癌切除時に実施した乏血性早期肝細胞癌の同時治療の術後成績にあたえる影響の検討

演者 松田 政徳(山梨大・1外科)
共同演者 雨宮 秀武(山梨大・1外科), 牧 章(山梨大・1外科), 渡邉 光章(山梨大・1外科), 細村 直弘(山梨大・1外科), 川井田 博充(山梨大・1外科), 河野 寛(山梨大・1外科), 藤井 秀樹(山梨大・1外科)
抄録 【はじめに】進行型肝細胞癌(pHCC)に対する術前検査で発見された乏血性早期HCC(eHCC)の肝切除時同時治療が術後成績に与える影響は明らかでない.今回,EOB-MRIの導入前後で,eHCCの診断能とeHCCをpHCC切除時に同時治療した後の生存率を比較検討した.【対象と方法】2008年のEOB-MRI導入後3年間のHCC治癒切除症例77例(施行例)と,それ以前の3年間の治癒切除例70例(非施行例)を対象とした.術前画像診断はEOB-MRI以外は全例でエコー,造影CT,血管造影,血管造影下CT(従来画像)を実施した.施行例では切除対象のpHCC以外に従来画像およびEOB-MRIで発見されたeHCCは可及的に切除または焼灼治療した.全経過で術後経過観察は同様に実施し,多血性病変の検出時を再発診断時とした.【結果】EOB-MRI施行77例と非施行例70例で,DCPは非施行例で高値であった(p=0.02)以外背景に差は認めなかった.eHCCの発見症例数は施行例で有意に多かった(17 vs 6,p=0.04).無再発生存率は1年,3年,4年の順に施行例が81.4%,63.7%,40.4,非施行例が82.1%,41.5%,30.3%と1年以内の再発率は同等であったが,2年以降は施行例で良好で,有意差を認めた(P=0.01).一方,累積生存率は施行例が98.7%,89.9%,78.2,非施行例が97.0%,86.3%,83.2%と現時点で有意差を認めなかった(P=0.98).【考察】今回の検討でEOB-MRI施行によりeHCCの発見率が高まり,これらの同時治療によりeHCC の多血化によるMC再発が抑制され,切除後の無再発生存率が向上するが,累積生存率に差がないのはpHCCの影響がより強いためと推定した.
索引用語 早期肝細胞癌, EOB-MRI