セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-手術治療 1

タイトル 外P-52:

肝細胞癌切除症例における重複癌の検討

演者 稲田 健太郎(都立墨東病院・外科)
共同演者 背山 泰治(都立墨東病院・外科), 松田 真輝(都立墨東病院・外科), 真栄城 剛(都立墨東病院・外科), 宮本 幸雄(都立墨東病院・外科), 梅北 信孝(都立墨東病院・外科)
抄録 【緒言】肝癌の重複癌症例は,従来5-10%の頻度で予後不良な傾向が報告されていた.近年高齢化社会に伴い,がん診療において重複癌症例の治療をする機会が増えている.また,診断技術の向上により,重複癌でも根治術が可能で長期生存が見込める症例も少なくない.今回我々は,肝細胞癌手術症例における重複癌の現状と成績を検討した.【方法】2001年3月から2012年6月まで当院で経験した肝細胞癌136例中,他臓器重複癌30例(22%)を対象として,臨床情報を解析した.【結果】男性25例,女性5例で肝切除時の平均年齢は70.6歳であった.HCV陽性が8例,HBV陽性2例であり,NBNCは20例と多く,肝硬変症例は7例あった.肝癌のステージはStageI8例,StageII13例,StageIII7例,StageIV1例であった.重複癌発症時期別には,前異時性16例(大腸癌5例, 胃癌4例,食道癌2例,膀胱癌2例,胆管癌,陰茎癌,子宮癌,空腸GIST,腎癌各1例),同時性は11例(胃癌4例,大腸癌3例,膵臓癌2例,食道癌,胆管癌,皮膚癌,十二指腸癌各1例),後異時性3例(大腸癌,膵臓癌,乳癌各1例)であった.また,三重複癌,四重複癌,五重複癌症例を各1例ずつ認めた.前異時性症例の第一癌治療から肝癌手術までの間隔は1~30年で平均期期間は7.9年であった.後異時性症例の肝癌治療から第二癌治療までの期間は1~2年で平均期間1.3年であった.同時重複癌症例治療は術前内視鏡的切除を2例,同時切除を7例に行い,二期的切除は2例に行った.肝癌切除後の予後は3年生存率61.3%,5年生存率43.7%であった.肝癌による原病死が9例,重複癌よる死亡は膵癌再発3例,食道癌再発1例あった.【結語】今回の検討で肝癌切除症例における重複癌の発生頻度は以前の報告と比較して高頻度であり,肝癌切除後の比較的良好な結果であった.同時重複癌も8.1%あり肝癌術前のスクリーニングも重要であると考えられた.
索引用語 肝細胞癌, 重複癌