セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-手術治療 2

タイトル 外P-55:

胃癌肝転移に対する肝切除とマイクロ波凝固壊死療法(MCN)の有用性について

演者 龍 知記(国立九州医療センター・肝胆膵外科)
共同演者 高見 裕子(国立九州医療センター・肝胆膵外科), 立石 昌樹(国立九州医療センター・肝胆膵外科), 和田 幸之(国立九州医療センター・肝胆膵外科), 才津 秀樹(国立九州医療センター・肝胆膵外科)
抄録 【はじめに】胃癌肝転移は手術適応となることは少なく,その有用性についての評価は確立されていない.そこで,今回われわれは,胃癌肝転移に対して外科治療を施行した29例の治療成績を検討した.【対象と方法】1997年12月から2012年12月までに当院にて胃癌肝転移に対して肝切除およびマイクロ波凝固壊死療法(MCN)を施行した29例を対象として,胃癌肝転移に対する外科治療の有用性について検討した.【結果】全29例の平均観察期間は32.2ヶ月で肝転移手術からの生存率は1年81.7%,3年36.0%,5年30.0%であった.肝切除13例(平均腫瘍径40.7mm,平均腫瘍個数1.1個)の1年,3年,5年生存率は91.0%,51.1%,51.1%,生存期間中央値29.4ヶ月,MCN 9例(平均腫瘍径28.3mm,平均腫瘍個数3.2個)は同88.9%,33.3%,16.7%,同20.2ヶ月,肝切除+MCN 7例(平均腫瘍径35.9mm,平均腫瘍個数4.0個)は71.4%,0%,0%,同18.2ヶ月であった (P=0.1574).予後因子の検討では,肝転移個数でのみ有意差を認め,単発の5年生存率56.3%に対して多発では9.1%と不良であった(p=0.035). 29例中20例に再発を認め,そのうち16例は肝転移再発であり,16例中12例(75%)は肝転移術後6ヶ月以内の早期再発であった.肝転移手術後5年以上の無再発生存例を5例に認め,4例は単発肝転移に対して肝切除を施行した症例,1例は7個の肝両葉多発転移に対してMCNを施行した症例であった.【結語】胃癌肝転移単発例は肝切除を行うことにより良好な治療成績を得ることができる.多発例においてもMCNを併用することで手術適応の幅を広げ,予後の改善が期待できる可能性があると思われた.しかし,術後早期に肝転移再発を認めたことは,手術時にすでにmicrometastasisが高率に存在することが示唆される.多発例であってもMCNを行って局所を制御し,術前または術後に補助化学療法を行うといった,外科手術と化学療法を組み合わせた集学的治療を行うことが,今後の重要な治療戦略になると思われた.
索引用語 胃癌, 転移性肝癌