セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-手術治療 2

タイトル 外P-56:

肝細胞癌に対する再肝切除短期成績の検討

演者 雨宮 秀武(山梨大・1外科)
共同演者 松田 政徳(山梨大・1外科), 渡邉 光章(山梨大・1外科), 牧 章(山梨大・1外科), 川井田 博充(山梨大・1外科), 河野 寛(山梨大・1外科), 藤井 秀樹(山梨大・1外科)
抄録 【目的】肝細胞癌はウイルス性肝炎を背景に発生するものが多く.根治的肝切除後の残肝再発も30~70%と高い.再発形式は肝内転移と多中心性発癌があり,特に多中心性発癌の場合,再度根治的肝切除が可能であれば,初回肝切除に匹敵する治療効果が期待される.当科では,肝細胞癌再発に対し厳密な画像診断の結果,多中心性発癌の疑われる症例を中心に,根治切除可能な症例には,初回肝切除適応に準じて積極的に再肝切除を施行している.再肝切除の特徴と短期成績について検討した.【方法】2009年4月から2012年4月まで,当科で施行された肝細胞癌肝切除89症例を対象とした.初回肝切例が71例,2回目肝切除が15例,3回目肝切除例が3例であった.初回肝切除群(A群,n=71)と,2回目と3回目肝切群(B群,n=18)に分類し,患者背景,肝予備能,手術時間,出血量,手術術式,術後経過について検討した.【結果】男性72例,女性17例,平均68.2歳(16~86歳)であった.HCV抗体陽性が44例,HBs抗原陽性が17例,肝障害度Aが62例,Bが17例であった.年齢,性別,ウイルス肝炎の有無,肝予備能に有意差はなかった.肝切除範囲は2区域切除が8例,1区域切除が19例,亜区域切除が15例,部分切除が47例で,系統的切除(Hr1,Hr2)の有無に有意差はなかった.平均手術時間はA群403.1分,B群401.7分で有意差はなく,平均出血量はA群609.2mlに対し,B群888.6mlと有意に多かった(p=0.048).術中術後輸血した症例はA群5例,B群3例で有意差はかった.術後合併症(Clavien-Dindo分類Grade IIIa以上)の発生率,術後在院日数に有意差はなかった.【考察】肝細胞癌に対する初回肝切除と2回目,3回目肝切除例において,患者背景,肝機能で有意差はなかった.切除範囲,手術時間に有意差はなく,また,術後経過でも有意差はなかった.術中出血量が有意に2回目,3回目肝切除例で多く,今後,出血量を減らす工夫として,初回肝切除時に癒着を減らす工夫,有効なエネルギーデバイスの使用等が考えられた.
索引用語 肝細胞癌, 肝切除