共同演者 |
生駒 久視(京都府立医大・消化器外科), 森村 玲(京都府立医大・消化器外科), 小西 博貴(京都府立医大・消化器外科), 村山 康利(京都府立医大・消化器外科), 小松 周平(京都府立医大・消化器外科), 塩崎 敦(京都府立医大・消化器外科), 栗生 宜明(京都府立医大・消化器外科), 窪田 健(京都府立医大・消化器外科), 中西 正芳(京都府立医大・消化器外科), 市川 大輔(京都府立医大・消化器外科), 岡本 和真(京都府立医大・消化器外科), 藤原 斉(京都府立医大・消化器外科), 落合 登志哉(京都府立医大・消化器外科), 大辻 英吾(京都府立医大・消化器外科) |
抄録 |
【はじめに】肝細胞癌(HCC)に対する治療法は医療技術の進歩により近年大きく変遷している.一方で治癒切除でも高率に再発を来すため,十分な集学的治療戦略を立案ことが重要である.【対象と方法】1980-2009年にHCCに対し肉眼的治癒切除を得られた372例を対象とし,前期(1980-1999年,n=236)と後期(2000-2009年,n=136)の2群に分類し以下の項目を検討した.1)372例の予後因子の解析,2)前期と後期の比較,3) 肝内再発例の治療法別成績の比較【結果】1) Stage(UICC)I:II:III:IV=216:118:30:7例,5年無再発生存率(無生率)31.3%,5年累積生存率(5生率)58.3%.ICG15R値10%以上,肝硬変,多発,腫瘍径30mm以上,前期が独立した予後不良因子であった.2)背景因子では前期で有意に肝硬変が多く(前期59%vs.後期46%, p=0.02),後期で有意に高齢が多かった(平均60vs.64歳,p<0.01).手術因子では後期で有意に出血量(p<0.01),輸血(p<0.01)が多かった.いずれの病理因子,Stage(p=0.19)で両群間に有意差を認めなかった.無生率は両群間で有意差を認めなかったが(30%vs.31%,p=0.52),5生率は後期で有意に良好であった(50%vs.80%, p<0.01).再発後生存期間は後期で有意に良好であった(20%vs.42%,p<0.01). 3)肝内再発例(n=212)では32例で再肝切除,24例で局所穿刺治療,150例でTACEを施行した.後期で再肝切除が少なく(17%vs.8%,p=0.06),局所穿刺治療が多い傾向を認めた(9%vs.17%,p=0.06).再肝切除は再発後5生率45%で,TACE(25%)より有意に良好であった(p=0.04).再発後TACE治療群では後期(n=50)の再発後5生率が41.7%で,前期(n=98,19.8%)より有意に良好であった(p<0.01).【まとめ】前後期間で無生率はほぼ同等であったが,5生率は後期で有意に良好であり,近年の集学的治療の発展が再発後生存率の改善に寄与していると考えられた.肝内再発例は可能なら再肝切除が望ましい可能性が示唆された. |