セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-手術治療 3

タイトル 外P-59:

肝細胞癌切除症例における予後因子の検討

演者 田村 浩章(浜松医療センター・外科)
共同演者 西脇 由朗(浜松医療センター・外科), 鈴木 雄飛(浜松医療センター・外科), 山本 淳史(浜松医療センター・外科), 中村 明子(浜松医療センター・外科), 大菊 正人(浜松医療センター・外科), 林 忠毅(浜松医療センター・外科), 平山 一久(浜松医療センター・外科), 金井 俊和(浜松医療センター・外科), 池松 禎人(浜松医療センター・外科)
抄録 【目的】肝細胞癌に対する肝切除は根治性の高い治療法であるが時として重篤な合併症を生じる.また,肝細胞癌切除後の予後因子にはいまだ不明な点が多い.今回,肝細胞癌切除例の治療成績を検証し予後因子を検索,解析した.【方法】当院にて2002年1月から2011年12月の期間に施行された肝細胞癌切除74症例を対象とし以下を検討した.(1)術後合併症率(Clavien分類).(2)全生存,および無再発生存の経時的変化(Kaplan-Meier法).(3)全生存,および無再発生存に影響する臨床病理学的因子(単変量,および多変量解析).p<0.05を有意な予後因子と判定した.【成績】(1)Clavien分類におけるGrade III以上の術後合併症は11.5%でありGrade Vは7.7%であった.(2)3年および5年全生存率はそれぞれ76.0%,57.4%であった.3年および5年無再発生存率はそれぞれ55.6%,48.6%であった.(3)単変量解析にて全生存に関与した予後因子は術前アルブミン値,PIVKA-2,腫瘍径,および腫瘍の分化度であった.多変量解析では術前アルブミン値3.9g/dl以上(p=0.001)が有意な予後良好因子であった.単変量解析で無再発生存に影響した予後因子はHBV単独感染,術前総ビリルビン値,GOT,GPT,PIVKA-2,解剖に沿った切除,および手術時間であった.多変量解析では総ビリルビン値0.9mg/dl以下(p=0.046),およびPIVKA-2 400mAU/ml未満(p=0.020)が有意な予後良好因子であった.【結論】肝細胞癌切除後の治療成績の向上には術後合併症の制御が重要である.また,術前アルブミン値,術前ビリルビン値,およびPIVKA-2を考慮した治療戦略を構築することが望まれる.
索引用語 肝細胞癌, 予後因子