セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
肝臓-手術治療 3
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タイトル |
外P-62:大腸癌肝転移に対する初回肝切除術の検討
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演者 |
井上 善博(大阪医大・一般・消化器外科) |
共同演者 |
米田 浩二(大阪医大・一般・消化器外科), 朝隈 光弘(大阪医大・一般・消化器外科), 廣川 文鋭(大阪医大・一般・消化器外科), 宮本 好晴(大阪医大・一般・消化器外科), 林 道廣(大阪医大・一般・消化器外科), 内山 和久(大阪医大・一般・消化器外科) |
抄録 |
【背景】大腸癌の転移部位は肝臓が最も多く,次に肺,局所再発,脳,腹膜,リンパ節などと続く.大腸癌と診断された時点で約25%の症例では肝転移を伴っており,さらに残りの40-50%では術後3年以内に肝転移を発生する.大腸癌肝転移に対する肝切除術の有効性は確立しているが,50-80%の症例では術後再発を認め,約50%に発生する残肝再発は生命予後に大きく影響する.多くの論文で肝切除術に関して議論されているが,肝切除範囲や切除断端距離に関しての報告は少なく,コンセンサスは未だ得られていない.【目的】大腸癌肝転移症例の無再発生存を中心とした予後や残肝再発に関する因子をretrospectiveに解析し,肝切除範囲や切除断端距離による術後の影響を検討した.【対象と方法】1995年から2011年までに初回肝切除術を施行した大腸癌肝転移症例170例を対象とし,臨床病理学的因子および手術における肝切除範囲や切除断端距離と,無再発生存期間や生存期間との関連を検討した.また,それらの術式による再発形式への関連も検討した.【結果】肝切除術後の独立した予後規定因子は原発巣の深達度(P=0.0297),肝腫瘍径 (P=0.0401)と再発の有無(P=0.0297)であり,無再発生存期間の規定因子は原発巣のリンパ節転移の有無 (P=0.0036)であった.肝切除範囲や切除断端距離は予後,無再発生存期間や残肝再発と関連を認めなかった.大腸癌肝転移症例の残肝再発形式は多区域性に再発することが多く断端再発は少なかった.残肝再発を来たした症例において,再肝切除を中心とした治療群は無治療より有意に予後は改善された(Pく0.0001).【結語】大腸癌肝転移症例に対する初回肝切除術に際して,肝切除範囲や切除断端距離が予後規定因子や残肝再発とは関連を認めず,再肝切除などの加療を考慮して残肝機能を出来得る限り温存することが重要と考えられる.大腸癌肝転移症例においては再発時の様々な治療も視野に入れた長期的な治療計画が必要であることが示唆された. |
索引用語 |
大腸癌肝転移, 断端距離 |