セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-手術治療 4

タイトル 外P-64:

一般病院でできるVp4肝細胞癌に対する集学的治療

演者 柏崎 正樹(兵庫県立西宮病院・外科)
共同演者 瀧内 大輔(兵庫県立西宮病院・外科), 飛鳥井 慶(兵庫県立西宮病院・外科), 畑 知樹(兵庫県立西宮病院・外科), 野口 幸蔵(兵庫県立西宮病院・外科), 濱野 梨絵(兵庫県立西宮病院・外科), 吉岡 慎一(兵庫県立西宮病院・外科), 三木 宏文(兵庫県立西宮病院・外科), 辻江 正樹(兵庫県立西宮病院・外科), 矢野 浩司(兵庫県立西宮病院・外科)
抄録 【目的】400床の地域基幹病院である当院では,2007年からcancer boardで肝細胞癌の治療方針を決定している.Vp4肝細胞癌診断時に他臓器転移がなく,合併症やPS等からも耐術能があると判断できれば,減量肝切除となっても積極的に切除する方針である.術後療法としてTACE,肝動注療法,ソラフェニブを組み合わせ,再切除も含めて可能な限り集学的治療を行う.非切除例では肝動注療法を第一選択としているが治療不能例も多い.過去5年間の当院におけるVp4肝細胞癌の治療成績について検討した.【方法】対象は2007年7月から2012年9月までに当院で治療したVp4肝細胞癌10例.切除4例,非切除6例.年齢;52-82(中央値74.5)歳,背景肝;HCV7例,HBV1例,NBNC2例.治療;切除例では肝葉切除・門脈腫瘍栓抜去術を施行した後,TACE3例,肝動注療法2例,ソラフェニブ1例,再切除1例の追加治療を可能な限り行った.非切除例では肝動注療法や放射線療法,ソラフェニブ療法を行ったが,4例ではBest supportive careであった.【成績】切除例はいずれも耐術し在院死亡はなかった.MSTは切除例で344.5日,非切除例で67日であった.Vp4B4で切除後,両側副腎転移および肝再発の再切除を施行した1例は17ヶ月生存した.非切除例ではBSCとなった4例がいずれも予後2ヶ月以内と極めて不良であったが,肝動注療法を反復施行できた1例は18ヶ月で死亡,放射線療法やソラフェニブなどの集学的治療中の1例は6ヶ月生存中である.【考察】Vp4肝細胞癌に対して積極的な切除を行い在院死亡例はなかった.減量肝切除であっても,残肝予備能が比較的良好で術後療法としてTACEや肝動注療法を反復施行可能な症例では,1年以上の予後が得られた.非切除例では肝動注療法などの集学的治療が奏功した2例以外は極めて予後不良であった.一般病院でもできるVp4肝細胞癌治療として,積極的な切除を軸とした集学的治療が有効であることが示唆された.
索引用語 Vp4, 集学的治療