セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
肝臓-手術治療 4
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タイトル |
外P-65:HCV抗体陽性肝細胞癌患者における術後再発危険因子の検討
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演者 |
近藤 千博(宮崎大・腫瘍機能制御外科学) |
共同演者 |
千々岩 一男(宮崎大・腫瘍機能制御外科学), 矢野 公一(宮崎大・腫瘍機能制御外科学) |
抄録 |
【目的】肝細胞癌(HCC)において,C型肝炎ウイルスは主な原因であり,切除術後も高頻度な再発が懸念される.手術成績向上の一助とすべく,HCVAb陽性HCC患者の術後再発に関する危険因子を検討した.【方法】1990-2012年,当教室でHCVAb陽性HCCに対して根治切除が行われた198例(年齢m±SD=67.9±7.8,M/F=149/49)で検討した.術後無再発生存率(DFS)を調べた.DFSに関連する因子を,患者背景因子(年齢,性,BMI,CRP),肝機能因子(Child-Pugh grade,肝障害度,血中T-Bil,Alb,PT,AST,ALT,ALP,ICGR15,Plt,肝硬変),腫瘍因子(腫瘍径,St/Mt,肉眼型,血中AFP,eg/ig,分化度,vp,stage),治療因子(初回手術,術前動注,系統切除,surgical margin (SM),術中出血量,術中RBC輸血の有無,手術時間)で調べた.観察期間は8-4312日(中央値339日)であった.Kaplan-Meier法,Log-rank testで単変量解析を行い,有意な因子についてCox比例ハザートモデルで多変量解析を行った.2004年以降の症例(n=79)ではHCVウイルス量とDFSの関係も調べた.【成績】術後3,5,10年目でのDFSはそれぞれ32.1,24.8,12.9%であった.BMI 24.8未満,CRP 0.4以上,肝障害度B or C,ALB 4.26 g/dl未満,PT 79%未満,AST 75 IU/L以上,ALP 325 IU/L以上,Plt 11万/μl未満,腫瘍径10cm以上,Mt,単純結節型以外,AFP 2700 ng/ml以上,vp+,stage III以上,SM 4mm未満,出血量3500ml以上,輸血有,手術時間620分以上で有意に(p<0.05)DFSが低下.このうち多変量解析でALB,ALP,Pltが独立因子であった.2004年以降の症例の検討では,高ウイルス量と低ウイルス量患者の術後1,2,3年DFSはそれぞれ51.3%,26.0%,14.4%と78.3%,63.3%,46.1%で,有意に低ウイルス量患者が良かった.【結論】HCVAb陽性HCC手術患者では,術後長期の観察で再発は極めて高率に起こる.再発に関して肝機能が重要であると思われた.治療における手術時出血や時間の短縮,十分なSMとウイルス量も重要である可能性がある. |
索引用語 |
肝細胞癌, C型肝炎ウイルス |