セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
肝臓-集学的治療 1
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タイトル |
外P-69:分子標的治療時代における肝細胞癌術後Sorafenib治療
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演者 |
青野 高志(新潟県立中央病院・外科) |
共同演者 |
鈴木 晋(新潟県立中央病院・外科), 金子 和弘(新潟県立中央病院・外科), 佐藤 友威(新潟県立中央病院・外科), 岡田 貴幸(新潟県立中央病院・外科), 武藤 一朗(新潟県立中央病院・外科), 長谷川 正樹(新潟県立中央病院・外科) |
抄録 |
【目的】肝細胞癌(HCC)術後成績向上には術後再発に対する治療戦略が重要である.HCC術後Sorafenib治療の効果を評価する.【方法】1999年4月~2012年12月に当科で施行したHCC初回肝切除166例中102例に術後再発(遺残含む)を来した.そのうち,Sorafenib治療適応再発(TACE不応,肝外転移,高度脈管侵襲)と判断された49例を対象とした.Sorafenib治療を行った11例をsorafenib群(S群),それ以外の38例を対照群(C群)とし,治療効果をretrospectiveに比較した.RECIST基準,治療適応時からの全生存期間(OS)及び無増悪期間(TTP)で効果を評価した.【成績】治療適応はTACE不応(不能含む),肝外転移,高度脈管侵襲それぞれS群5例,5例,3例,C群24例,12例,7例であった(重複含む).適応時年齢はS群70±8歳,C群72±8歳,適応時のStageや腫瘍マーカー値に差はなかったが,GOT,GPT,Alb,T.Bil,Child-Pugh scoreはS群37±18,27±12,3.7±0.3,0.6±0.1,5.5±0.7で,C群65±33,43±22,3.3±0.6,1.0±0.4,6.4±1.1との間にそれぞれ有意差を認め,C群で肝予備能低下を認めた.Sorafenibの初回投与量は400mgが9例,維持量は800mgが6例で,使用期間は10~492日(平均147日)であった.有害事象を9例に認めたが,grade3以上はなかった.効果はPR1例,SD6例,PD4例で,奏効率9.1%,病勢制御率63.7%であった.OSはC群の1生率20.2%に対し,S群では57.1%と良好な傾向が見られ(P=0.171),median TTPはC群の50日に対し,S群では108日と良好であった(P=0.0039).ChildA症例に限定しても,median TTPはC群の50日に対し,S群では134日と良好であった(P=0.0048).治療適応別では,肝外転移例,高度脈管侵襲例では差はなかったが,TACE不応例の比較では,S群のOS,TTPはそれぞれC群に比して良好(P=0.042),(P=0.021)であった.【結論】HCC術後高度進行再発に対するSorafenib治療は再発の進行を遅らせ,更にTACE不応例には生存期間の延長ももたらした.今後の適応拡大が期待される. |
索引用語 |
肝細胞癌, ソラフェニブ |