セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-集学的治療 1

タイトル 外P-70:

当科における局所進行肝細胞癌に対する肝動注療法の検討

演者 武田 真(浜松医大・2外科)
共同演者 坂口 孝宣(浜松医大・2外科), 平出 貴乗(浜松医大・2外科), 柴崎 泰(浜松医大・2外科), 森田 剛文(浜松医大・2外科), 鈴木 淳司(浜松医大・2外科), 菊池 寛利(浜松医大・2外科), 鈴木 昌八(磐田市立総合病院・消化器外科), 今野 弘之(浜松医大・2外科)
抄録 (はじめに)門脈腫瘍栓を伴う進行肝細胞癌に対しては,従来リザーバー留置下での5-FU+CDDP or IFN肝持続動注療法が用いられてきた.しかし,リザーバー留置の必要性,カテーテルトラブル,入院期間の延長などの問題点も存在した.それに対し,one shot肝動注療法でも持続動注療法に匹敵する治療効果の報告も存在する.当科では,2012年から局所進行肝癌に対するCBDCA+ADM +MMC(以下CAM)肝動注療法を導入,良好な病巣のコントロールが得られたので報告する.(方法)肝内多発転移もしくは脈管浸潤を伴う局所進行肝癌を対象とした.固有肝動脈レベルまでカテーテルを挿入し,CBDCA 150mg+ADM 20mg+MMC 8mgを基本投与量としてone shot動注した.治療当日および翌日に制吐剤等を使用して副作用軽減につとめ,経過良好であれば3~4日後退院とした.(結果)症例1:59歳男性.左葉10cm大の腫瘍および左門脈腫瘍栓,右葉に4~5個の肝内転移を有する肝細胞癌(Child-Paugh A)に対してCAM肝動注療法を2コース施行した.効果判定PR,PIVKA-2は2224から741mAU/と減少したため,肝切除を施行.術後3月現在,追加CAM施行し,再発を認めず.症例2:76歳男性.Vp3を伴う肝細胞癌(Child-Paugh B)に対してCAM肝動注療法を2コース施行した.画像上はSDであるが,PIVKA-2は1326から87mAUと著減を示し,治療前に存在した腹水も消失,良好なQOLを保ち,外来通院中である. いずれの症例もGrade3以上の副作用は出現しなかった.(結語)CAM肝動注療法は短期入院にて施行可能で,副作用も少なく,リザーバー留置に伴うカテーテルトラブルもなく,1か月間隔での繰り返し治療が可能である.現在症例は2例であるが,いずれも病巣コントロールは良好であり,進行肝細胞癌治療レジメの一つとして更なる症例の蓄積が必要と考えられた.
索引用語 局所進行肝癌, 肝動注療法