セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
肝臓-集学的治療 2
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タイトル |
外P-72:肝切除後の肝細胞癌再発と背景肝M-CSF発現との関連に関する検討
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演者 |
河野 寛(山梨大・1外科) |
共同演者 |
古屋 信二(山梨大・1外科), 原 倫生(山梨大・1外科), 平山 和義(山梨大・1外科), 松田 政徳(山梨大・1外科), 藤井 秀樹(山梨大・1外科) |
抄録 |
【はじめに】今回,マウス肝発癌モデルとC型肝炎ウイルス感染を背景とする肝細胞癌切除症例で肝発癌進展とM2MφならびにM-CSFの関連について検討した.【方法】検討I:op/opとlittermateマウス(LT)を用い,生後14日目にジエチルニトロサミン(DEN)を腹腔内投与し炎症性肝発癌モデルを作製.投与後28週目に犠牲死させ,発癌率を検討.肝内活性化Mφ分布を免疫組織染色法で,肝MφのM1/M2比を抗CD68,CD204抗体を用いたFACS法と,RT-PCR法でCD163 mRNA発現を検討.腫瘍内新生血管新生を免疫組織染色で検討した.検討II:当科において根治的切除を施行したHCV陽性HCC患者の検体を用い,非腫瘍部M-CSF発現を抗M-CSF抗体,新生血管発現を抗CD31抗体,Mφ分布を抗CD68抗体,M2Mφ分布を抗CD163抗体を用いて免疫組織染色法にて検討.これらの発現と臨床的因子,病理学的因子,再発までの期間(DFS)に関して統計解析を行った.【結果】検討I:LTと比較し,op/opでは発癌率,腫瘍数,最大腫瘍径のいずれにおいても有意に低下.活性化Mφの分布は,LTでは正常肝組織・腫瘍内部ともに認められるのに対して,op/opでは腫瘍内部とその辺縁部においてのみ認めた.DEN投与後の発癌マウスでは,op/opにおいてCD204+/CD68+比と,CD163 mRNA発現がLTと比較して有意に低下.腫瘍内の新生血管はLTにおいて有意に増加.検討II:非腫瘍部M-CSF発現と,腫瘍周囲浸潤M2 Mφ数ならびに腫瘍周辺新生血管発現には正相関を認めた.M-CSFならびに新生血管発現が高発現群においてDFSが有意に短縮していた.M-CSF発現は,単変量解析により独立した予後因子であった.【考察】背景肝に発現するM-CSFは,M2Mφの比率を増加させるとともに血管新生を増加させることで腫瘍増殖を促進し,肝細胞癌再発期間を短縮させている可能性が示唆された. |
索引用語 |
M-CSF, 血管新生 |