セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-集学的治療 2

タイトル 外P-73:

進行肝細胞癌に対するソラフェニブと外科治療を組み合わせた治療成績

演者 荒川 悠佑(徳島大病院・消化器・移植外科)
共同演者 島田 光生(徳島大病院・消化器・移植外科), 石川 大地(徳島大病院・消化器・移植外科), 山田 眞一郎(徳島大病院・消化器・移植外科), 斉藤 裕(徳島大病院・消化器・移植外科), 岩橋 衆一(徳島大病院・消化器・移植外科), 金本 真美(徳島大病院・消化器・移植外科), 池本 哲也(徳島大病院・消化器・移植外科), 森根 裕二(徳島大病院・消化器・移植外科), 居村 暁(徳島大病院・消化器・移植外科), 宇都宮 徹(徳島大病院・消化器・移植外科)
抄録 背景:当科では切除不能肝癌症例に対してソラフェニブの投与を行い,外科的治療が可能であれば積極的に導入してきた.今回この治療成績を検討し,外科的治療の組み合わせが有用であった症例について報告する.対象・方法:当科にてソラフェニブを投与した症例で投与後の効果判定を行った25例を対象とした.投与量は初期では800mg/日で開始したが,現在では400mg/日で開始している.(検討1)ソラフェニブの治療効果と副作用(検討2)ソラフェニブと外科的治療の併用が有用であった2症例に関して検討を行った.結果:(検討1)投与期間(中央値)は112日であり,副作用として手足症候群は44%に認められた.手術へのconversionが可能であった症例,肺・肺門部リンパ節転移を認めた2症例のみがPRであり(8%),SDは10例(40%)であった.投与後累積生存率は12か月で55%であった.(検討2)症例1, 60才代,男性,HBV (+).肝右葉の巨大肝細胞癌に対してTACE後に肝右葉切除を施行するも術後肺転移及び肺門リンパ節転移が出現しGEM+FP,IFN+TS1療法を施行した後にソラフェニブ(800mg/日)を投与し,肺転移・リンパ節転移は著明な縮小を認めた.投与開始29か月後に肝内再発を認め肝内側区域切除施行.現在44か月生存中.症例2:50才代,男性,HBV(+).腹部膨満感あり,CTで肝前区域を占める巨大HCC認め肝内転移を伴っていた.ソラフェニブ(400→800mg/日)の投与を開始したところ,AFP(2308→17ng/ml), PIVKAII(23635→577AU/ml)は著減し,画像上も主腫瘍の著明な縮小を認めた.このため2012/11に肝右葉切除を施行した.現在術後4か月再発を認めていない.結語:切除不能肝癌に対するソラフェニブの奏効率は8%であるものの,PR症例における根治的肝切除へのconversionによる根治切除,あるいはPD後に外科切除を併用することで長期生存を得ることが可能であり有用な治療オプションであると考えられた.
索引用語 ソラフェニブ, 肝細胞癌