共同演者 |
片桐 聡(東京女子医大・消化器外科), 有泉 俊一(東京女子医大・消化器外科), 小寺 由人(東京女子医大・消化器外科), 大森 亜紀子(東京女子医大・消化器外科), 米田 五大(東京女子医大・消化器外科), 山本 伸(東京女子医大・消化器外科), 江川 裕人(東京女子医大・消化器外科), 山本 雅一(東京女子医大・消化器外科) |
抄録 |
【はじめに】肝細胞癌の治療成績を向上するために術後補助療法とともに術後再発への治療は重要である.分子標的薬Sorfenibは承認に先立つ大規模臨床において生存延命効果が証明されている治療薬であり,治癒切除不能な肝細胞癌に対し適応を取得し臨床の現場で使用されているが,現在でもTACEは術後肝内再発に対する治療の中心であると言える.【目的】肝細胞癌術後再発に対するミリプラチンを使用したTACEの治療成績を検討する.【方法】2010年10月~2012年9月に当科で行われたミリプラチンを使用したTACE 246例のうち肝細胞癌術後再発初回治療症例44例を対象に早期再発(術後2年以内再発)群と後期再発(術後2年以降再発)群,単発再発群と多発再発群に分けて全生存率,直接治療効果判定(TE)を検証した.【結果】平均年:67.5±15.0歳, 男女比:38/6, Child-Pugh (A/B/C):(40/4/0), ウイルスマーカー(B/C/nBnC)(8/20/16), ミリプラ使用量(平均)69.4±27.4mg.2年全生存率40%, 早期再発群(n=26)と後期再発群(n=18)に全生存率に有意差はなく,直接治療効果判定(TE1/TE2/TE3/TE4)は早期再発群で(3/2/4/9例),奏効率(TE3~4)72.2%に対し後期再発群で(10/7/3/6例),奏効率34.6%であった.単発再発群(n=22)と多発再発群(n=22)では全生存率に有意差を認め,直接治療効果判定は単発再発群で(4/1/3/14例),奏効率77.2%に対し多発再発群は直接治療効果判定(9/8/4/1例),奏効率22.7%であった.また,奏効(TE3~4)群と非奏効(TE1~2)群の生存率に有意差を認めた.【結語】早期再発群と後期再発群では奏効率に差があるものの全生存率に有意差を認めなかった.単発再発群と多発再発群では奏効率,全生存率ともに単発群の治療成績が良好であった.しかし,多発再発群のTE4の1例は2年間無再発であり,奏効群と非奏効群の生存率に有意差を認めることから初回治療の効果判定が予後改善の重要な因子であることが示唆された. |