セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-集学的治療 2

タイトル 外P-75:

化学療法後,主として胆管内腫瘍栓が増大した直腸癌肝転移の1切除例

演者 梶川 真樹(岐阜県立多治見病院・外科)
共同演者 山中 雅也(岐阜県立多治見病院・外科), 百々 昌紀(岐阜県立多治見病院・外科), 多代 充(岐阜県立多治見病院・外科), 水野 亮(岐阜県立多治見病院・外科), 園原 史訓(岐阜県立多治見病院・外科), 小西 滋(岐阜県立多治見病院・外科), 出口 智宙(岐阜県立多治見病院・外科), 原田 明生(岐阜県立多治見病院・外科)
抄録 【症例】69歳,男.直腸癌,同時性肝転移(Ra: pSE,pN0,H1,P0,M0; stageIV)に対し,20××年5月低位前方直腸切除術,同年7月肝部分切除術(S2, S4x2, S6)を施行.同年10月から術後補助化学療法(XELOX+ベバシズマブ 7コース)を行った.2年後の12月,経過観察の腹部造影CTで肝右葉に2か所(S5, S8)の腫瘤が出現,肝転移再発と診断した.肝切除でなく化学療法を希望されたため,翌年2月よりFOLFIRI+パニツムマブを開始,9コース終了時点で,S5の病巣が画像上は消失しS8の病巣も縮小したが,皮膚障害と末梢神経障害が高度となり中止.その後,カペシタビン内服で化学療法を継続したが,その翌年1月の腹部造影CTで右葉肝内胆管の拡張がみられ,その下流の右肝内胆管内に腫瘍栓がみられた.画像上,胆管内腫瘍栓部分と肝実質転移部分との境界は必ずしも明確ではなかったが,腫瘍の大半が胆管内腫瘍栓と考えられた.これ以上の化学療法による治療は困難と考え,同意を得て,肝切除を行うこととした.同年2月,手術予定で入院時,血清ビリルビン値が2.1mg/dlと高値を示したため,MRCP・ERCPを行ったところ,胆管内腫瘍栓が総胆管内に遊離・脱落していた.ENBDチューブを挿入し,同月肝右葉切除術を行った.術後病理組織検査では,肝実質転移部分は極めて少なく,ほとんどが胆管内腫瘍栓で,一部,胆管上皮を置換して胆管内に進展していた.免疫染色ではCK7陰性,CK20陽性で,直腸癌肝転移と考えられた.【まとめ】化学療法で肝実質転移は縮小したが,胆管内腫瘍栓が増大した直腸癌肝転移の1切除例を経験した.肝実質転移に比べ,胆管内腫瘍栓は抗がん剤が到達しにくいなどの可能性が示唆される貴重な1例と思われた.
索引用語 直腸癌, 胆管内腫瘍栓