セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-術後合併症 1

タイトル 外P-80:

高齢者(80歳以上)に対する肝切除における合併症危険因子の検討

演者 友松 宗史(明和病院・外科)
共同演者 相原 司(明和病院・外科), 生田 真一(明和病院・外科), 吉江 秀範(明和病院・外科), 飯田 洋也(明和病院・外科), 北濱 誠一(明和病院・外科), 小野 朋二郎(明和病院・外科), 堀尾 勇規(明和病院・外科), 竹中 雄也(明和病院・外科), 後野 礼(明和病院・外科), 木村 文彦(明和病院・外科), 柳 秀憲(明和病院・外科), 山中 若樹(明和病院・外科)
抄録 【はじめに】高齢者は併存疾患が多く,各臓器予備能の低下から,周術期合併症の発生率が高い.なかでも肝切除は,侵襲の大きい領域であり,合併症発生リスクが高い.今回,高齢者(80歳以上)への肝切除術において,合併症の危険因子を明らかにし,周術期管理の注意点,今後の課題を検討した.【対象および方法】2010年1月から2012年12月に当院で肝切除術を受けた患者は339例で,そのうち80歳以上の24例を対象とした.術後合併症なし群15例(NM群)と術後合併症あり群9例(M群)の2群に分けて,術前臨床病理学的因子,手術関連因子についての比較,検討を行った.術前因子の栄養評価として小野寺式栄養指数(PNI),慢性肝障害評価としてMELD(Model for end-stage liver disease) scoreを用い,手術リスク評価としてE-PASS scoring system(術前リスクスコア;PRS,手術侵襲スコア;SSS,総合リスクスコア;CRS)を用いた.統計学的解析はt検定,χ2検定を用い,多変量解析はロジスティック回帰分析を用い,p<0.05を有意差ありと判定した.【結果】平均年齢は81.6歳で,男女比は15:9であった.併存疾患は62.5%,術前PSは1例(PS2)を除き,0~1で,原疾患はHCC17例,meta4例,肝内結石2例,CCC1例であった.術式は部分切除12例,区域切除8例,葉切除4例で腹腔鏡使用は33%であった.合併症発生率は37.5%で,その内訳は肺炎3例,せん妄 4例,SSI 3例,急性腎不全 2例(重複あり)で,在院死が1例あった.PNI,MELD score,E-PASSは両群間で差は認められなかった.一方で,併存疾患の有無,糖尿病の有無で有意差(p<0.05)を認めた.しかし多変量解析では合併症の独立した危険因子として残らなかった.【考察】合併症の危険因子を明らかにすることはできなかったが,高齢者の術後合併症は重症化しやすいため,全例において,術前を含めた周術期の栄養療法,理学療法が重要と考えられた.
索引用語 肝切除, 高齢者