セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-術後合併症 2

タイトル 外P-84:

術後合併症からみた肝予備能評価

演者 三田村 圭太郎(昭和大・消化器・一般外科)
共同演者 村上 雅彦(昭和大・消化器・一般外科), 青木 武士(昭和大・消化器・一般外科), 榎並 延太(昭和大・消化器・一般外科), 山田 宏輔(昭和大・消化器・一般外科), 古泉 友丈(昭和大・消化器・一般外科), 大塚 耕司(昭和大・消化器・一般外科), 藤森 聡(昭和大・消化器・一般外科), 渡辺 誠(昭和大・消化器・一般外科), 加藤 貴史(昭和大・消化器・一般外科)
抄録 【はじめに】肝予備能の正確な評価は,手術適応と肝切除量の決定,さらに術後肝不全などの重篤な合併症を未然に防ぐ上できわめて重要である.当科では,肝予備能評価には,幕内基準を遵守しているが,同基準を逸脱し肝切除を施行している症例も存在する.幕内基準や従来の評価に,肝アシアロシンチ検査(GSA),ヘパプラスチンテスト(HPT)およびヒアルロン酸値(HA)を追加することで,同基準内外での補足的肝予備能を評価している.今回,術前検査値を再評価し,術後合症からみた肝予備能評価について検討した.【対象】2006年から2012年に施行した区域切除以下の肝切除214例を対象とし,術後合併症(高ビリルビン血症(T-Bil : 5mg/dl以上),重症感染症,DIC)を来した症例についてレトロスペクティブに比較検討した.【結果】幕内基準内症例での術後合併症症例は206例中4例で,幕内基準逸脱症例は8例で合併症は認めなかった.幕内基準内症例を合併症あり(A群)と非合併症症例(B群)に分け検討した.術前検査値では,プロトロンビン時間(PT(%)) (80.8 vs 91.7),HPT (%) (69.0 vs 88.7),HA(ng/ml) (360 vs 141)でそれぞれに有意差を認めた.GSAでのLHL15分値は,幕内基準内症例0.863,幕内基準逸脱症例0.853で有意な差はなかった.【まとめ】区域以下の肝切除症例に,幕内基準および従来の肝予備能評価に加えて,GSA,HPT,HA値を評価した.幕内基準内症例で,非合併症症例は合併症あり症例より有意にHPT,HA値は良好な結果であった.GSAのLHL15分値は,幕内基準内,外で差を認めなかった.術前肝予備能評価にGSA ,HPT,HA値を加えることで,幕内基準逸脱症例でも合併症予防を含めた肝予備能評価が可能となることが示唆された.
索引用語 肝切除, 肝予備能