セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-移植

タイトル 外P-85:

肝移植周術期管理におけるエンドトキシンの測定意義

演者 眞田 幸弘(自治医大・移植外科)
共同演者 浦橋 泰然(自治医大・移植外科), 井原 欣幸(自治医大・移植外科), 岡田 憲樹(自治医大・移植外科), 山田 直也(自治医大・移植外科), 兼田 裕司(自治医大・消化器・一般外科), 笹沼 英紀(自治医大・消化器・一般外科), 佐久間 康成(自治医大・消化器・一般外科), 安田 是和(自治医大・消化器・一般外科), 水田 耕一(自治医大・移植外科)
抄録 【背景】エンドトキシンは細菌感染症のバイオマーカーであるが,肝臓の網内系で処理されるため,そのクリアランスは肝機能を代用できるとされている.肝移植後周術期管理において,予後を左右する細菌感染症とグラフト肝機能を把握することは重要であり,エンドトキシンによって両者を把握できる可能性がある.今回,肝移植後に化学発光法によって迅速に測定できるEndotoxin Activity Assayを用いてエンドトキシン活性(EA)を測定し,肝移植後細菌感染症とグラフト肝機能を予測できるか検討したので報告する.【方法】2010年4月~2011年2月に当科で生体肝移植を行った21例を対象にした.男児10例,女児11例であり,年齢は中央値1.0才(0.2~19.1才),体重は中央値8.6kg(3.2~49.7kg),PELD・MELDスコアは3.4(-15.8~31.3)であった.術前末梢静脈血,移植後1日目(1POD),5POD,7POD,14PODに末梢静脈血のEAの測定を行った.術後発熱,白血球増加,CRP上昇を伴い抗生剤治療を施行した腹腔内・呼吸器感染症や菌血症を細菌感染症と定義し,移植後に血清総ビリルビン値が5.0mg/dl以上に再上昇した症例を移植後高ビリルビン血症と定義した.【結果】肝移植後に細菌感染症または高ビリルビン血症を57.1%に合併した.肝移植後細菌感染症または高ビリルビン血症を合併した症例は,非合併症例に比べて術前末梢静脈血EAは有意に高値であったが(0.22±0.10 vs. 0.07±0.05, p<0.001),1-14PODの末梢静脈血EAでは有意差は認めなかった.術前末梢静脈血EAのROC解析では,肝移植後細菌感染症または高ビリルビン血症を合併するカットオフ値は0.16であった(感度83.3%,特異度88.9%,AUC=0.940).【結語】術前末梢静脈血EAが0.16以上の場合,肝移植後に細菌感染症または高ビリルビン血症を合併する可能性が高いため,それらを念頭に置いて肝移植後管理を行うべきである.
索引用語 エンドトキシン, 肝移植