セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-移植

タイトル 外P-86:

当院における生体肝移植術後敗血症発生危険因子の検討

演者 武田 和永(横浜市立大・消化器・腫瘍外科)
共同演者 田中 邦哉(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 後藤 晃紀(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 熊本 宜文(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 野尻 和典(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 森 隆太郎(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 谷口 浩一(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 松山 隆生(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 遠藤 格(横浜市立大・消化器・腫瘍外科)
抄録 【背景】肝移植術後は,免疫抑制剤使用のため,敗血症合併率が高く,予後不良といわれている.【目的】当院における肝移植術後敗血症発生危険因子を検討した.【対象と方法】1992年から2012年まで当院で施行した生体肝移植症例58例のうち,周術期敗血症合併例(n=28, 48.2%)の周術期因子を,非合併例(n=30, 51.8%)と比較した.【結果】敗血症合併群(n=28)のうち,主たる感染源は,腹腔内(n=12; 43.1%), 肺(n=8; 28.5%),胆汁(n=4; 14.2%),血管カテーテル(n=3; 10.7%),尿路(n=1; 3.5%),であり,術後平均20.0(0-83日)で敗血症に進展した.周術期敗血症関連死亡例は,5例(17.8%)であった.術前因子のうち,性差,レシピエント・ドナー年齢,術前免疫抑制剤使用率,血液浄化施行率,Body mass index, BMI, MELD score, アルブミン値は,敗血症合併群と非合併群で有意差を認めなかったが,ABO不適合率が前者で高率であった(39.2 %vs 10%; p=0.009).術中因子のうち,グラフト体重比, 手術時間,出血量では,両者の差を認めなかったが,脾臓摘出率は,敗血症合併群で,高率であった(64.2%vs 36.6%; p=0.03).術後因子のうち,急性拒絶反応合併率,胆道縫合不全合併率は,両者で差を認めなかったが,サイトメガロウイルス(CMV)感染合併率は,敗血症合併群で,高率であった(60.7%vs 33.3%; p=0.004).さらに,敗血症合併症例のうち,敗血症関連死亡例(n=5)と,生存例(n=23)の背景因子を比較すると,CMV感染合併率が有意に高率であった(100 %vs 51.8%; p=0.04).【結語】血液型不適合,脾臓摘出,CMV感染は,肝移植後敗血症合併の危険因子と考えられた.さらに,敗血症関連死亡例で,CMV感染が有意に高率であったが,同感染は,過度の免疫抑制状態下で発生するといわれており,周術期免疫モニタリングを実施し,至適免疫抑制状態を把握することが敗血症関連死亡回避のために,重要と考えられた.
索引用語 生体肝移植, 敗血症