セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-移植

タイトル 外P-87:

門脈血栓・門脈低形成症例に対する生体肝移植における工夫

演者 池上 徹(九州大・消化器総合外科)
共同演者 調 憲(九州大・消化器総合外科), 副島 雄二(九州大・消化器総合外科), 吉住 朋晴(九州大・消化器総合外科), 内山 秀昭(九州大・消化器総合外科), 山下 洋一(九州大・消化器総合外科), 播本 憲史(九州大・消化器総合外科), 戸島 剛男(九州大・消化器総合外科), 吉屋 匠平(九州大・消化器総合外科), 中川原 英和(九州大・消化器総合外科), 木村 光一(九州大・消化器総合外科), 松本 佳大(九州大・消化器総合外科), 池田 哲夫(九州大・消化器総合外科), 前原 喜彦(九州大・消化器総合外科)
抄録 (はじめに)末期肝疾患に伴う門脈血栓や門脈低形成は,そのままでは生体肝移植における門脈再建が不可能な場合が多い.(方法)当科において非代償性慢性肝疾患に対して成人間生体肝移植を施行した324例を対象とし,門脈血栓の頻度と分類,その再建方法に関する報告を行う.(結果)324例の内,35例(10.8%)に門脈の低形成あるいは血栓による門脈血流異常を認めた.35例全症例でいわゆる側副血行路の形成を認め,その内訳は,脾腎シャント(n=17),傍胃食道シャント(n=10),門脈下大静脈シャント(n=5),傍臍静脈(n=4),海綿状変化(n=1)であった.再建は,(1)門脈低形成症例(n=2)では内頸静脈間置グラフトを用いた左腎静脈門脈吻合,(2)完全門脈血栓症例(n=14)では左腎静脈門脈吻合(n=2),経膵頸部背側性に内頸静脈間置グラフトを用いた上腸間膜静脈門脈吻合(n=2),Eversion法あるいはCorkscrew法による血栓除去(n=10),(3)部分血栓症例(n=15)では全例血栓除去,(4)壁在血栓症例(n=7)は全例直接吻合を行った.左腎静脈門脈吻合を行った4症例を除き,全症例で側副血行路の完全遮断を行った.術後CTにて全症例に於いて門脈の血流は良好で,血栓形成は認めなかった.移植後1年及び5年グラフト生存率は門脈血栓・低形成症例(n=35)で84.0%および70.6%,非門脈血栓・低形成症例(n=289)で89.6%および82.3%(p=0.12)であり,門脈血流異常症例でも適切なグラフト流入血と側副血行路の廓清を行うことで良好な生存率を得ることができた.(まとめ)門脈血栓や低形成を伴う症例に対する生体肝移植に対しては,血栓除去のみならず間置静脈グラフトを用いた門脈再建技術とシャント血管の処理など病態に応じた手術先着によって良好な手術成績を得ることができた.
索引用語 肝移植, 門脈血栓