セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

肝臓-移植

タイトル 外P-88:

モノポーラーセッシを使用したPBC method - 肝移植手技の悪性疾患手術への応用

演者 尾池 文隆(三菱京都病院・消化器外科)
共同演者 軍司 大悟(三菱京都病院・消化器外科), 中内 雅也(三菱京都病院・消化器外科), 木口 剛造(三菱京都病院・消化器外科), 堀 智英(三菱京都病院・消化器外科), 岡田 憲幸(三菱京都病院・消化器外科), 上本 伸二(京都大・肝胆膵・移植外科)
抄録 【目的】肝移植では,強い凝固異常,側副血行路の発達や手術既往・炎症による癒着のなかで脈管を損傷せずに確実に露出する剥離操作が必要とされる.近年の超音波凝固切開装置,バイポーラ型シーリングデバイスなどのエネルギーデバイスの進歩はめざましいが,いまだ繊細さに欠け操作性に不満を感じることも多い.またシングルユースのものが多く地球環境保護の点でも問題が多い.肝移植術の難条件に対応した剥離手技を市中病院での癌手術に応用できるように凝固デバイスの選択を行った.【方法】エルベモノポーラーセッシP-20195-095を使用し,pinch-burn-cut method (PBC method)を,胃癌,大腸癌,肝門部胆管癌,膵癌などの手術におけるリンパ節郭清に応用した.【成績】出血のないドライな視野でリンパ節郭清が可能であった.剥離層を正しくとらえることで,動脈外膜を露出する層あるいは動脈周囲の神経叢を温存する郭清も自在である.【考察】肝移植におけるPBC methodは,漏電を防ぐようプラスティックコーティングされたセッシを使用.繊細なセッシの先で層に沿った剥離を行い,残った線維組織を少しずつつまみ上げたセッシに助手が電気メスをあてて通電することで凝固切離する.生体肝移植レシピエント手術などで多用され強力な止血能力と同時に繊細な剥離が可能な方法であるが,助手との息が合わないと手術進行に支障をきたす.今回,モノポーラーセッシをフットスイッチで使用することで,助手の手を余分にとられることなく術者のリズムで手術を進めることができ,少人数で手術時間も短縮できて市中病院における開腹癌手術に適した手技となった.モノポーラーセッシは肝移植手術に逆応用しても有用と思われる.【結論】モノポーラーセッシは,シンプル・安価な凝固デバイスであり,PBC methodに使用することで,出血のない迅速かつ繊細なリンパ節郭清を可能とする.
索引用語 肝移植, 悪性腫瘍手術