セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
膵臓-化学療法
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タイトル |
外P-89:FOLFIRINOX療法は高度進行膵癌に対する標準治療と成り得るか?
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演者 |
鈴木 淳司(浜松医大・2外科) |
共同演者 |
坂口 孝宣(浜松医大・2外科), 武田 真(浜松医大・2外科), 平出 貴乗(浜松医大・2外科), 柴崎 泰(浜松医大・2外科), 森田 剛文(浜松医大・2外科), 今野 弘之(浜松医大・2外科) |
抄録 |
【目的】遠隔転移を有する膵癌に対する一次治療としてFOLFIRINOXのゲムシタビンに対する優越性が2011年に報告された.高度局所進行または遠隔転移を有する切除不能膵癌に対する治療として,当科で施行したFOLFIRINOX10例につきその成績を報告する.【方法と対象】2011年9月から切除不能膵癌10例に対し,当院Cancer Boardの承認を得てFOLFIRINOXを施行した.症例は男性7例,女性3例.年齢は52-77歳(中央値68歳).PS0-2(同1).原発巣は頭部6例,体尾部3例,尾部1例.非切除理由は高度局所進行5例,肝転移3例,腹膜転移2例.4例で転移巣の病理組織診断で膵癌の診断を得た.全症例中心静脈リザーバーカテーテルを留置し,投与は入院治療で行った.【結果】治療回数は1-10コース.治療関連死なく,評価可能例ではPR2例,SD2例,PD5例で奏効率22%,病勢制御率44%であった.PRの1例は肝全域にわたる多発肝転移と広範なリンパ節転移を認めたが,6コース終了時点で原発巣がほぼ消失し,転移巣の著しい縮小を認め,1年4カ月経過現在治療継続中である.SDの1例は3コース終了後に高値を示した腫瘍マーカーが正常化し,手術(亜全胃温存膵頭十二指腸切除,総肝動脈・門脈合併切除再建)可能となった.合併症なく術後28日目に退院した.術中R0と判断したが最終病理結果は膵切離断端陽性であり,現在放射線照射施行中である.FOLFIRINOXは全身倦怠感,食思不振,脱毛などのGrade 2以上の有害事象は必発だが,悪心嘔吐は薬剤支持療法で制御可能だった.軽度呂律不全などの神経障害を75%に認めた.好中球減少は83%,発熱性好中球減少は50%に来した.奏効例は有害事象が軽微で,3週間間隔での治療繰り返しが可能だった.【結語】FOLFIRINOX療法は,治療開始時PSが良好に保たれていれば有害事象は対処可能で安全に施行できる.切除可能至適症例選択,治療期間に関しては症例蓄積と検証が必要であるが,FOLFIRINOXが切除不能膵癌の標準治療の1オプションと成り得る可能性が示唆された. |
索引用語 |
FOLFIRINOX, 進行膵癌 |