セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-化学療法

タイトル 外P-91:

膵癌術後補助化学療法完遂の重要性と非完遂要因の検討

演者 赤堀 宇広(奈良県立医大・消化器・総合外科)
共同演者 庄 雅之(奈良県立医大・消化器・総合外科), 野見 武男(奈良県立医大・消化器・総合外科), 山戸 一郎(奈良県立医大・消化器・総合外科), 北東 大督(奈良県立医大・消化器・総合外科), 川口 千尋(奈良県立医大・消化器・総合外科), 安田 里司(奈良県立医大・消化器・総合外科), 木下 正一(奈良県立医大・消化器・総合外科), 長井 美奈子(奈良県立医大・消化器・総合外科), 山田 高嗣(奈良県立医大・消化器・総合外科), 金廣 裕道(奈良県立医大・消化器・総合外科), 中島 祥介(奈良県立医大・消化器・総合外科)
抄録 【目的】膵癌補助化学療法は,術後の状態でその完遂が困難となる症例が存在する.今回我々は,術後補助療法完遂の重要性と非完遂に至る要因の検討を行った.【対象と方法】2004年から2010年に切除した膵癌123例.補助化学療法完遂群(完遂群),再発による補助化学療法変更群(再発非完遂群),術後状態不良などによる未施行・非完遂群(非再発非完遂群)の3群分け非完遂に影響する因子を検討した.【結果】男性71例,女性52例,年齢中央値68歳.術式は,PD,DP,TPが各々75,42,6例で,全症例のMSTは22.9ヶ月であった.まず,補助化学療法完遂の有無が予後へ及ぼす影響を全例で検討した.単変量解析で,年齢75才以上 (P=0.025),術後化学療法非完遂 (P<0.0001),Stage IV以上 (P=0.0009), R1(P=0.038)が予後不良因子であった.多変量解析では,化学療法非完遂 (P<0.0001)のみが独立した予後不良因子であった.補助化学療法非完遂例は全体で49%(60/123例)であり,うち再発非完遂群が25例(20%),非再発非完遂群は35例(28%)であった.また,再発非完遂群と非再発非完遂群には予後の差を認めなかった(MST:425 vs.386日).次に,予後改善の可能性を探求するために,非再発非完遂群と完遂群とを比較検討した.非再発非完遂群の術前後のPrognostic nutrition index(PNI)値は,術前43.4±8.4,術後35.3±8.9であり,完遂群の各々46.9±5.7,43.1±6.4に比して有意に不良であった(術前:P=0.014,術後:P<0.0001).さらに,非再発非完遂群の輸血率は71%(20/35例)で,完遂群30%(19/63例)に対し,有意に高値であった(P=0.011).【結語】術後化学療法完遂・非完遂が独立予後因子であった.化学療法非完遂には術前後の栄養状態および輸血の有無が有意な関連を認めた.積極的な治療介入による術前の免疫栄養状態の改善と輸血のない手術が化学療法完遂率を上昇させ,予後向上に寄与する可能性が示唆された.
索引用語 補助化学療法, 完遂