セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-集学的治療 1

タイトル 外P-93:

切除不能膵癌の胆道閉塞に対するバイパス術とステント留置の比較

演者 村上 昌裕(大阪労災病院・外科)
共同演者 清水 潤三(大阪労災病院・外科), 金 鏞国(市立貝塚病院・外科), 金 浩敏(大阪労災病院・外科), 相馬 大人(大阪労災病院・外科), 廣田 昌紀(大阪労災病院・外科), 森島 宏隆(大阪労災病院・外科), 三方 彰喜(大阪労災病院・外科), 松並 展輝(大阪労災病院・外科), 長谷川 順一(大阪労災病院・外科), 平尾 元宏(大阪労災病院・消化器内科), 小森 真人(大阪労災病院・消化器内科), 吉原 治正(大阪労災病院・消化器内科), 根津 理一郎(大阪労災病院・外科)
抄録 (目的)膵癌の経過中にしばしば胆道閉塞や消化管閉塞をきたし,QOLの低下を招くことがある.局所進行や肝転移などの遠隔転移を有する切除不能膵癌の胆道閉塞に対する治療には,経皮的に行う胆道ステント留置と開腹にて行うバイパス術があり,個々の患者の背景や全身状態,進行度,予測される予後,本人や家族の意思などにより,総合的に判断する必要があるが,その治療方針は施設や診療科により様々な基準で選択されており,一定の見解は得られていない.(方法)2010~2012年に術前検査で切除可能膵癌と判断したが,術中に切除不能と診断され,予防的にバイパス術(基本的に胆管空腸吻合と胃空腸吻合,Braun吻合のほかに腹腔神経叢ブロックを追加)を施行した8症例(B群)を,画像検査などから切除不能膵癌と診断され,胆道閉塞に対して内視鏡下にメタリックステントを留置した7症例(S群)と比較し,その合併症や予後などについて検討した.(結果)各群とも切除不能の理由は肝転移が多かった.閉塞性黄疸を伴う場合は胆道ドレナージの後,手術あるいはステント留置とし,全例で術後に化学療法(ジェムザールあるいはS-1療法)を施行した.術後合併症としてB群で胆管炎およびSSIの1例を認めたが,両群間で入院期間(B群:S群=17.9日:18.0日)に有意な差はなく,長期経過においてS群でステント脱落により再ドレナージを要した1例,十二指腸狭窄で胃空腸バイパス術を要した2例を認めた.両群で予後(平均観察期間221.5日:260日)に差はなく,長期生存例も存在した.(結論)切除不能膵癌の胆道閉塞に対しては,QOL改善や侵襲性の低さから胆道ステント留置が望ましい.しかし切除目的で開腹し,術中所見で切除不能と診断された膵癌に対しては,膵癌診療ガイドラインにあるようにバイパス術が推奨されると考えられた.
索引用語 膵臓癌, ステント