セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-集学的治療 1

タイトル 外P-94:

通常型膵癌の肉眼的治癒例の再発様式と対策

演者 上田 順彦(金沢医大・一般・消化器外科)
共同演者 森岡 絵美(金沢医大・一般・消化器外科), 甲斐田 大資(金沢医大・一般・消化器外科), 富田 泰斗(金沢医大・一般・消化器外科), 大西 敏雄(金沢医大・一般・消化器外科), 大野 由夏子(金沢医大・一般・消化器外科), 野口 美樹(金沢医大・一般・消化器外科), 舟木 洋(金沢医大・一般・消化器外科), 藤田 秀人(金沢医大・一般・消化器外科), 木南 伸一(金沢医大・一般・消化器外科), 中野 泰治(金沢医大・一般・消化器外科), 小坂 健夫(金沢医大・一般・消化器外科)
抄録 【はじめに】通常型膵癌では肉眼的治癒切除がなされても再発例が多く予後は不良である.そのため肉眼的治癒切除例の予後を改善することが膵癌全体の治療成績を押し上げることになる.【目的】膵癌の肉眼的治癒切除(R0,R1)例を臨床病理学的所見に検討し,さらに補助療法の効果についても検討した.【対象と方法】過去13年間に当科で原発巣切除がなされた通常型膵癌58例のうち,肉眼的治癒切除(R0,R1)31例について検討した.なお2009年以降の症例では膵背面の剥離はfusion fasciaの背側に入り膵臓をfasciaごと腹側に持ち上げpRPを陰性化することに留意していることと,手術単独ではR0が得られないと判定された症例では術前化学放射線療法(NACRT)を施行してから手術することを基本としている.【成績】1.局所癌遺残度(R)別の生存率:R0 21例の5年生率は50%,R1 10例の3生率は13%で,両者に有意差を認めた.2.2000年から2008までは切除例に占めるR0率は24%,R1率は17%であったが,2009年以降はR0率83%,R1 率17%と改善した.3.脈管浸潤とリンパ節転移:ly, v, ne陽性率は各々77%,77%,74%と高率であった.リンパ節転移陽性は52%であった.再発形式ではv2以上では7例中4例に肝転移を認め,ly,ne陽性例では主に局所,腹膜播種再発を認めた.4.補助療法とその効果:24例に術後補助療法が導入され,GEMの導入は18例,GEM以外の化療は6例,なし7例であった.またNACRT+GEMは4例であった.2年以上生存はGEMをbaseにした症例で12例(67%),それ以外の化療では2例(33%)であった.【結論】(1)R1例ではR0例と比較して有意に予後は不良であり,R0手術を施行することが重要である.そのためには膜構造を考えた切除とNACRTが有用と考えられた.(2)治癒切除例における脈管浸潤陽性の状況により再発様式が推察された.(3)術後GEMをbaseにした補助療法は肉眼的治癒切除例の無再発生存に寄与していると考えられた.
索引用語 通常型膵癌, 集学的治療