セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-集学的治療 1

タイトル 外P-95:

切除不能膵癌に対する集学的治療後切除例の臨床的検討

演者 柳本 泰明(関西医大・外科)
共同演者 里井 壯平(関西医大・外科), 豊川 秀吉(関西医大・外科), 山本 智久(関西医大・外科), 廣岡 智(関西医大・外科), 山木 壮(関西医大・外科), 由井 倫太郎(関西医大・外科), 道浦 拓(関西医大・外科), 井上 健太郎(関西医大・外科), 權 雅憲(関西医大・外科)
抄録 切除不能膵癌において,化学(放射線)療法後切除可能症例の報告は極めて少ない.今回切除不能局所進行膵癌に対してadjuvant surgery の9名を経験したので報告する.患者は男性/女性がそれぞれ2/7名,年齢は38-78歳であった.切除不能の理由としては,膵頭部症例(5名)においては総肝動脈浸潤を全例に認め,4名に胃十二指腸動脈浸潤を認めた.膵体尾部症例(4名)においては腹腔動脈かつ上腸間膜動脈浸潤を認めた.手術までの化学(放射線)療法施行期間は5-18ヶ月であり,化学療法レジメンは様々であるもののGemcitabine/S-1併用療法を7名に,放射線併用療法を6名に実施した.化学(放射線)療法後全症例で腫瘍マーカーは低下した.術式は,膵全摘3名(門脈合併切除3例,総肝動脈合併切除1例)/膵体尾部切除2名(総肝動脈合併切除1名,結腸合併切除1名)/膵頭十二指腸切除4名(門脈合併切除3名,総肝動脈合併切除1名)であった.手術時間は312-621分,出血量355-2692mlで4名に輸血を施行した.周術期合併症としては腹腔内膿瘍1名(術後在院日数24日),胃内容排泄遅延を1例に認め術後在院日数46日と長期となったが,その他膵液漏を含めた合併症は認めず在院死なく再入院は無かった(在院日数7-41日).腫瘍縮小の結果切除可能となる症例は稀であり長期成績についてはエビデンスに乏しく安易に手術を勧めるものではないと思われるが,腫瘍縮小により画像上根治切除が可能と考えられ,かつ全身状態が良好な患者においては十分な説明の上,手術も選択肢の一つになりうると思われた.
索引用語 切除不能膵癌, 集学的治療