セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-集学的治療 1

タイトル 外P-96:

膵癌/胆道癌に対する術前化学放射線療法におけるシンバイオティクス投与の有用性の検討

演者 後藤 邦仁(大阪府立成人病センター・消化器外科)
共同演者 大東 弘明(大阪府立成人病センター・消化器外科), 高橋 秀典(大阪府立成人病センター・消化器外科), 真貝 竜史(大阪府立成人病センター・消化器外科), 本告 正明(大阪府立成人病センター・消化器外科), 岸 健太郎(大阪府立成人病センター・消化器外科), 丸橋 繁(大阪府立成人病センター・消化器外科), 能浦 真吾(大阪府立成人病センター・消化器外科), 藤原 義之(大阪府立成人病センター・消化器外科), 大植 雅之(大阪府立成人病センター・消化器外科), 矢野 雅彦(大阪府立成人病センター・消化器外科), 石川 治(大阪府立成人病センター・消化器外科)
抄録 膵癌/胆道癌に対して当院では術前化学放射線療法(CRT)を取り入れているが,CRT中は免疫抑制状態であるため,胆管炎や放射線性胃腸炎などの併発により低栄養状態が惹起されることがある.近年シンバイオティクスは腸内細菌叢維持作用を有することが明らかにされつつあり,適切な腸内環境を維持することで栄養学的効果や免疫学的効果があると考えられている.そこで膵癌/胆道癌に対して術前CRTを施行する症例に対し,シンバイオティクスを投与し,その有用性について検討した.【対象/方法】対象は2012年1月から2013年2月に膵癌/胆道癌の診断にて術前CRTを施行した37症例(膵癌/胆道癌:34/3例).シンバイオティックス投与群(15例)と非投与群(22例)の2群に分け,CRT前後での栄養状態評価(体重,血清アルブミン値),および,CRT中の合併症(血液毒性,胆管炎)について比較検討した.尚,術前CRTはGemcitabine(1000mg/m2:3週投薬1週休薬,3コース)および放射線治療(2Gy x 25回,3次元原体照射)を基本とし,シンバイオティクス群はCRT開始時から手術前日まで,経口にて1日あたり乳酸菌製剤(1g) 3包,ビフィズス菌末(1g) 3包,オリゴ糖15gを内服した.【結果】(1)CRT前後の体重変化(シンバイオティクス投与群/非投与群)は,それぞれ1.1kg/2.1kg減少で,投与群で減少が少ない傾向にあった(p=0.38).(2)CRT前後の血清アルブミン値の変化(投与群/非投与群)は,それぞれ0.05/0.57(g/dl)減少で,投与群で減少が有意に少なかった(p<0.01).(3)CRT中の血液毒性(Grade 3以上)の発生頻度(投与群/非投与群)は80%/61%で両群間に有意差を認めなかった.(4)CRT中の胆管炎は両群ともにステント留置症例にのみ発生し,その頻度(投与群/非投与群)は89%/86%で両群間に差を認めなかった.【結語】膵癌/胆道癌の術前CRT中にシンバイオティックスを投与することで,CRT中の栄養状態を維持できる可能性が示唆された.
索引用語 膵癌, シンバイオティクス