セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-集学的治療 2

タイトル 外P-99:

局所進行膵癌に対する集学的治療戦略:GS療法・化学放射線療法後の切除の意義と適応

演者 元井 冬彦(東北大病院・肝胆膵外科)
共同演者 川口 桂(東北大病院・肝胆膵外科), 青木 豪(東北大病院・肝胆膵外科), 薮内 伸一(東北大病院・肝胆膵外科), 深瀬 耕二(東北大病院・肝胆膵外科), 水間 正道(東北大病院・肝胆膵外科), 坂田 直昭(東北大病院・肝胆膵外科), 乙供 茂(東北大病院・肝胆膵外科), 大塚 英郎(東北大病院・肝胆膵外科DELIMITER東北大病院・胃腸外科), 森川 孝則(東北大病院・肝胆膵外科DELIMITER東北大病院・胃腸外科), 林 洋毅(東北大病院・肝胆膵外科), 中川 圭(東北大病院・肝胆膵外科DELIMITER東北大大学院・統合がん治療外科学), 岡田 恭穂(東北大病院・肝胆膵外科), 吉田 寛(東北大病院・肝胆膵外科), 内藤 剛(東北大病院・肝胆膵外科DELIMITER東北大病院・胃腸外科), 三浦 康(東北大病院・胃腸外科DELIMITER東北大大学院・消化器外科学), 柴田 近(東北大病院・胃腸外科DELIMITER東北大大学院・生体調節外科学), 片寄 友(東北大病院・肝胆膵外科DELIMITER東北大大学院・統合がん治療外科学), 江川 新一(東北大病院・肝胆膵外科DELIMITER東北大災害科学国際研究所), 海野 倫明(東北大病院・肝胆膵外科DELIMITER東北大病院・胃腸外科DELIMITER東北大大学院・統合がん治療外科学DELIMITER東北大大学院・消化器外科学DELIMITER東北大大学院・生体調節外科学)
抄録 【背景】動脈接触を伴う進行膵癌は切除が困難・高侵襲であり,切除できた場合も予後不良である.切除に組み合わせた化学療法・放射線治療(CRT)が期待されるが,その意義・適応は明らかでない.
【目的】動脈接触所見を呈する進行膵癌に対する治療成績から,最適な治療戦略を考察.
【対象】画像上,遠隔転移がなく2006-12年に当科で治療した膵癌269例のうち,主要動脈(上腸間膜動脈, 腹腔動脈, 肝動脈)への接触所見がある浸潤性膵管癌108例(切除70例)を対象.年齢中央値は66歳,男性61例:女性47例.手術前GS療法もしくはCRT施行は46例(GS/CRT).
【方法】生存期間と予後層別因子として腹腔洗浄細胞診(CY)・組織学的大動脈周囲リンパ節転移(N3)と治療因子(GS/CRTの有無)の関係を後ろ向きに検討.
【成績】全例の生存期間中央値(MST)は14.2ヶ月,1, 3年生存率は,58, 14%.切除例のMST:16.4ヶ月は非切除(9.8ヶ月)に比べ,有意に良好(p=.0013).CY-かつN3-の83例 (CY-/N3-)では,切除54例のMST:20.4ヶ月は非切除例(9.9ヶ月)に比べ有意に延長(p=.0002).しかし両者いずれか陽性25例(CY/N3)では,切除の有無でMSTに差がなかった(9.8ヶ月 vs 7.9ヶ月,p=.87).
CY-/N3-切除54例では,GS/CRTは非施行に比べ,有意に予後良好(MST:26.5ヶ月 vs 16.1ヶ月, 3年生存率 43% vs 0%, p=.046)であり,CY/N3切除16例では逆にGS/CRT後切除で非施行に比べ予後不良な傾向(p=.13)にあった.
【結論】動脈接触を伴う進行膵癌に対しても切除の意義があり,手術前GS/CRTは切除成績向上に寄与する.しかしGS/CRT施行後にCY/N3の場合,切除の意義は見出せず,治療戦略の再考を要する.
索引用語 局所進行膵癌, 集学的治療