セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-集学的治療 2

タイトル 外P-100:

局所進行膵癌に対する化学放射線治療とadjuvant surgeryの意義

演者 江口 英利(大阪大大学院・消化器外科学)
共同演者 永野 浩昭(大阪大大学院・消化器外科学), 小林 省吾(大阪大大学院・消化器外科学), 川本 弘一(大阪大大学院・消化器外科学), 和田 浩志(大阪大大学院・消化器外科学), 濱 直樹(大阪大大学院・消化器外科学), 秋田 裕史(大阪大大学院・消化器外科学), 森 正樹(大阪大大学院・消化器外科学), 土岐 祐一郎(大阪大大学院・消化器外科学)
抄録 【目的】局所進行膵癌症例(Borderline Resectable [BR]およびUnresectable [UR])では,強力な局所治療を行うことにより切除可能(Resectable [R])となることや,R0切除率の上昇,切除後局所再発率の低下が期待されている.しかし結合組織に富む膵癌では,画像上は縮小効果が判然としないことも多く,切除(adjuvant surgery)に踏み切る症例の選別や切除時期について一定の見解はない.以前より当科では切除可能膵癌および局所進行膵癌に対してゲムシタビンをベースとした化学放射線治療(CRT)を施行してきた.本報告では,NCCNのガイドラインによるBR,UR症例に対するCRTの臨床経過および意義を報告する.
【方法】2007年1月~2010年12月に当院にて治療を施行した局所進行膵癌(BRおよびUR)で,ゲムシタビンベースのCRTを施行した50症例を対象とした.切除可能性の評価はCRT施行前・後のthin slice CTにて判定した.BRの定義は「上腸間膜動脈(SMA)に腫瘍が接するも半周以下」,「門脈/上腸間膜静脈(PV/SMV)への腫瘍の浸潤」を有する画像所見とし,URは「SMAに腫瘍が半周を超して接している」,「腹腔動脈(CE)に腫瘍が接している」,「再建不能なPV/SMV閉塞」を有する画像所見とした.
【成績】50症例の内訳はBR:UR=32:18で,浸潤脈管はBRではSMA:PV/SMV=12:20,URではSMA:CE:PV/SMV=9:15:0(6例はSMAとCEの両方)であった.CRT後の再評価は,BRの32例ではR:BR:UR=6:23:3で,URの18例は全例がURのままであった.CRT後の切除術は,Rと判断された6例中4例(2例は開腹時に腹膜播種陽性),およびBRと判断された23例中16例に施行しえた.CRT前の診断別に見た50%生存期間および1,2,3年生存率は,BRは27ヶ月および69,51,35%,URは13ヶ月および67,10,0%であった.
【結論】局所進行膵癌に対するCRTは,画像上はダウン・ステージングの頻度は高くないものの良好な生存率を示しており,予後改善に寄与するものと考えられた.
索引用語 化学放射線治療, borderline resectable