セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
膵臓-集学的治療 2
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タイトル |
外P-101:Borderline resectability(BR)膵臓癌に対する術前化学放射線療法を組み合わせた治療戦略
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演者 |
高野 公徳(東京医大八王子医療センター・消化器外科・移植外科) |
共同演者 |
佐野 達(東京医大八王子医療センター・消化器外科・移植外科), 中島 哲史(東京医大八王子医療センター・消化器外科・移植外科), 富田 晃一(東京医大八王子医療センター・消化器外科・移植外科), 千葉 斉一(東京医大八王子医療センター・消化器外科・移植外科), 河地 茂行(東京医大八王子医療センター・消化器外科・移植外科), 島津 元秀(東京医大八王子医療センター・消化器外科・移植外科) |
抄録 |
【はじめに】我々は,NCCN guidelineが定めるunresectable(NCCN UR)と考え得る上腸間膜動脈や腹腔動脈に進展した膵癌も遠隔転移さえなければBRと考え,術前化学放射線療法(NACR)と切除を組み合わせた治療を施行してきたので報告する.【対象】2010年6月から現在までにNACRを施行した当科におけるBR膵癌13例(膵頭部10例,膵体部癌3例).【方法】術前にgemcitabine (400mg/m2),TS-1 (40mg/m2/day)によるlow dose GS療法を2投1休で2コース施行する間に,腫瘍本体と癌遺残の可能性が高い主幹動脈周囲に総計50.4 Gy(28回)の通常照射を施行する.その後期間をおいて再評価し,切除不能でなければ手術を行う方針とした.【成績】BR膵癌13例中,6例(NCCN UR症例 2例を含む)に切除施行し,7例(NCCN UR症例4例を含む)は再評価で明らかな切除不能因子を認めたため手術せず化学療法を継続した.切除した6例のうちNCCN UR症例は2例で,1例は膵全摘(R1)を施行し,大動脈周囲に局所再発を認めつつも治療開始後30ヶ月(術後18ヶ月)生存したが低血糖で死亡した.もう1例は治療開始後30ヶ月(術後23ヶ月)で肝不全にて死亡したが再発は確認できなかった.切除施行した残り4例は,治療開始後13ヶ月(術後10ヶ月)で再発死亡,治療開始後7ヶ月(術後5ヶ月)で仮性動脈瘤の出血で死亡,治療開始後10ヶ月(術後7ヶ月)無再発生存中,治療開始後7ヶ月(術後4ヵ月)無再発生存中である.一方,切除に至らなかった7例はいずれも化学療法を継続し,3例がそれぞれ治療開始後4ヶ月,12ヶ月,13ヶ月で癌死,残り4例はそれぞれ治療開始後4ヶ月,5ヶ月,11ヶ月,20ヶ月で現在も生存中であった.【結論】当科が施行しているBR膵癌に対するNACRは,13例中,5例にR0,1例にR1切除を可能にし,治療開始から2年以上の生存症例を2例得た.また7例は切除に至らなかったが,潜在的遠隔転移のある症例に対する手術の回避を可能にした. |
索引用語 |
Borderline resectability 膵臓癌, 術前化学放射線療法 |