セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-集学的治療 2

タイトル 外P-102:

進行膵体尾部癌に対する腹腔動脈合併尾側膵切除 -術前化学療法の意義-

演者 吉富 秀幸(千葉大・臓器制御外科)
共同演者 清水 宏明(千葉大・臓器制御外科), 吉留 博之(千葉大・臓器制御外科), 大塚 将之(千葉大・臓器制御外科), 加藤 厚(千葉大・臓器制御外科), 古川 勝規(千葉大・臓器制御外科), 高屋敷 吏(千葉大・臓器制御外科), 久保木 知(千葉大・臓器制御外科), 岡村 大樹(千葉大・臓器制御外科), 鈴木 大亮(千葉大・臓器制御外科), 中島 正之(千葉大・臓器制御外科), 相田 俊明(千葉大・臓器制御外科), 宮崎 勝(千葉大・臓器制御外科)
抄録 【目的】膵体尾部癌は容易に腹腔動脈などの主要血管へ浸潤をきたすことがあり,予後不良の疾患である.我々はこれまで,このような症例に対しても積極的に腹腔動脈合併尾側膵切除術(DP-CAR)を適応し,治療成績の向上を目指してきた.本研究ではDP-CAR症例をretrospectiveに検討し,これらの症例における術前化学療法の意義を中心に検討した.
【対象】当院で2004~2012年までにDP-CARを施行した14例.全例でGemcitabine(GEM)を中心とした術後補助療法を施行.2010年からは術前GEM/S-1併用療法(GS)を施行後,手術を行う方針とした.
【結果】手術先行(S)群6例,術前化学療法施行(NAC)群8例.両群間で性別,年齢に有意差を認めない.f StageはS群でIVa/IVb 4/2例,NAC群で7/1例と有意差無し.門脈合併切除を5例(S群1例,NAC群4例)に併施した.手術時間および出血量も両群で有意差無く,また,術後在院日数も有意差を認めず,NACは周術期成績に影響を与えなかった.癌局所遺残度(R)は0/1/2がS群では1例/4例/1例(R0率 16.6%)であったがNAC群では4例/4例/0例(R0率 50.0%)であった.手術後無再発生存期間中央値はS群6.7ヶ月,NAC群12.2ヶ月とNAC群が予後良好である傾向を認め,全生存期間中央値はS群14.5ヶ月,NAC群17.6ヶ月で有意にNAC群が良好であった.
【結語】DP-CARを要する進行膵体尾部癌において,術前GS療法は安全に施行可能で,切除後の予後改善につながる可能性が示唆された.血管浸潤,神経叢浸潤を伴う症例でも術前補助化学療法後に積極的な外科切除を行うことで,治療成績の向上につながると考えられた.現在,このような切除困難進行膵癌に対する術前GS療法の安全性,有効性をprospectiveに評価する第II相試験を行っている.
索引用語 膵癌, 集学的治療