セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-集学的治療 2

タイトル 外P-104:

進行膵癌の治療戦略:化学療法奏功例に対する局所療法付加の意義

演者 和田 慶太(帝京大・外科)
共同演者 佐野 圭二(帝京大・外科), 天野 穂高(帝京大・外科), 三浦 文彦(帝京大・外科), 豊田 真之(帝京大・外科), 青柳 賀子(帝京大・外科), 池田 豊(帝京大・外科), 伊藤 博道(帝京大・外科), 貝沼 雅彦(帝京大・外科), 高田 忠敬(帝京大・外科)
抄録 【目的】我々はこれまで局所進行膵癌に積極的に手術先行治療として動脈門脈合併切除を行い,その成績を報告してきた(JHBPS 2009).2001-2010年に動脈合併切除が並施された進行膵癌24例の成績はMST 11.2ヶ月,1生率41.7%(大部分が早期遠隔転移再発)と不良であったが,5例の3年生存(うち3例は5年生存)が得られた.この結果より,2010年以降は化手術先行治療から化学療法先行治療に変更し,奏功例に対して局所治療を付加する治療方針としている.今回はその治療成績について検討した.【方法】2010/4月以降,33例の切除不能進行膵癌(うち局所進行18例)に1次治療としてGEM+S1(GS)療法を施行.治療開始後6ヶ月以上の奏功(RECIST SD以上)が得られた症例に対して局所療法(放射線照射and/or切除)の付加を行った.【結果】隔週GS療法開始後6ヶ月における抗腫瘍効果はRECIST PR/SD/PD 8/13/12例であった.奏功例PR/SD 21例(64%)のうち,11例に対して局所療法の付加として外科切除4例(うち2例は放射線照射後),放射線照射を7例に施行した.観察期間中央値は18.7ヶ月(6-31.4ヶ月)の時点で,外科切除した4例は全例無再発生存中(生存期間15.9-30.8ヶ月)であったが,非奏功例12例に1年生存はなくMSTは8.7ヶ月であった(P<0.001).奏功例・非切除群(29例)のうち,放射線照射付加群(7例)と化学療法単独群(22例)には差がなかったが,放射線照射付加群で良好な傾向が見られた.【結論】進行膵癌に対して化学療法奏功例に対する局所療法(放射線療法および切除)の付加は生存期間延長のために有効なオプションであると考えられた.また,GS非奏功例に対しては別レジメンによる化学療法などの新たな治療開発が必要である.
索引用語 膵癌, 集学的治療