共同演者 |
本間 祐樹(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 松山 隆生(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 谷口 浩一(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 森 隆太郎(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 熊本 宜文(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 野尻 和典(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 武田 和永(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 上田 倫夫(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 秋山 浩利(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 田中 邦哉(横浜市立大・消化器・腫瘍外科), 遠藤 格(横浜市立大・消化器・腫瘍外科) |
抄録 |
【背景/目的】 教室ではStageIV 膵癌に対し, 術前に放射線化学療法を導入してきたが局所効果判定は間質量が多い事からHE染色のみでは困難であった. 本検討では膵癌に対する術前放射線化学療法における局所効果を癌微小環境での腫瘍関連リンパ球の変化およびMHCクラスI, Calreticulin, Heat shock protein 70 (Hsp70) 発現の変化を用いて評価する事を目的とした.【方法】2006年1月から2011年12月までの膵癌切除52例を対象とし術前放射線化学療法施行22例(NACRT群),切除先行30例(non-NAC群)の2群に分け比較検討した. 術前放射線化学療法のレジメンはTS-1+GEM+Rad 20例,GEM+Rad 2例であった. HE染色の効果判定はEvans分類を用い, 腫瘍浸潤リンパ球としてCD4およびCD8の免疫染色を行い, Regulatory T cell markerとしてFoxp3染色を行った. さらにMHCクラスI, ストレスタンパクとしてCalreticulin, Hsp70の評価を行った.【結果】NACRT群とNon-NAC群との比較では進行度に有意差はなかった. Evans分類を用いたHE染色での局所効果判定はGrade1:1例, Grade2a:9例, Grade2b:11例, Grade3:1例であった. 癌部に浸潤するCD8陽性細胞数はNACRT群が50.1±38.1個, 切除単独群が24.1±21.4個と前者で有意に高値であった (p=0.010). 同様にCD4陽性細胞数はNACRT群が59.0±22.6個, 切除単独群が39.2±32.1個と前者で有意に高値であった. Foxp3陽性細胞数はNACRT群が25.7±17.7個, 切除単独群が37.8±24.9個と前者で低い傾向であった (p=0.061). NACRT群においてCalreticulinの発現が有意に多かったが(p=0.001), MHCクラスI, Hsp70とは相関がなかった. 【結論】 NACRT群で癌部のCD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞浸潤が有意に高率であり, Calreticulinの高発現がみられた.術前放射線化学療法は癌局所免疫に対し増感作用をもつことが示唆された. |