セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-基礎研究

タイトル 外P-108:

同所性ラット膵癌モデルを用いたgemcitabineの膵癌局所免疫賦活効果の検討

演者 山木 壮(関西医大・外科)
共同演者 豊川 秀吉(関西医大・外科), 里井 壯平(関西医大・外科), 柳本 泰明(関西医大・外科), 山本 智久(関西医大・外科), 廣岡 智(関西医大・外科), 由井 倫太郎(関西医大・外科), 大石 賢玄(関西医大・外科), 權 雅憲(関西医大・外科)
抄録 [背景]膵癌に対する抗癌剤gemcitabine(GEM)には,血液中の樹状細胞の増加などの免疫賦活効果が報告されているが,腫瘍局所の免疫作用については同様の報告が少ない.今回我々は同所性ラット膵癌モデルを用いて,gemcitabineの膵癌局所に対する免疫作用について検討したので報告する.[方法]モデルは,Lewis rat(5w ♂)の大腿部皮下に膵癌cell line(DSL-6A/C1)を2-10x106個移植して作成した皮下腫瘍を摘出し,これを1-2mm角に細断したfragmentを,別のLewis rat(5w ♂)の膵被膜下に2段階移植して作成した.膵への移植後4週後に試験開腹し,腫瘍の生着の確認できたものを,GEM(50mg/kg)投与群(経静脈投与,3投1休,1クール)(n=6)とcontrol群(n=6)に振り分けた.(このモデルにて,GEM投与により生存期間の延長が認められることはすでに報告している.J Hepatobiliary Pancreat Sci (2013) 20:206-213)投与開始から4週後に犠牲死させ,膵腫瘍,脾臓を摘出し,それぞれ組織内のIFN-γ,IL-2のmRNAの発現をquantitative RT-PCRにて検討した.[結果]腫瘍はGEM群にて有意に縮小した(GEM群:0.46倍, Control群:6.56倍, p=0.02).IL-2の発現は脾臓内ではGEM投与群で有意に低下していた(ΔΔCt法 GEM群:0.35, Control群:0.67,p=0.02).IFN-γもGEM投与群で低下傾向を認められ(p=0.26),全身的にはGEMが免疫抑制的に作用したと考えられた.これに対し,膵腫瘍内では,有意差はないもののIFN-γ,IL-2ともにcontrol群に比べてGEM群で発現が増加しており,局所においてはGEMにより免疫賦活されている可能性が示唆された.[結語]GEMは,抗腫瘍作用に加えて,腫瘍局所における免疫賦活作用も有する可能性が示唆された.今後Tumor Infiltrated Lymphocyte(TIL)等をさらに検討していく予定である.
索引用語 同所性ラット膵癌モデル, 局所免疫賦活