セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-その他 1

タイトル 外P-111:

超音波凝固切開装置による膵組織障害の実験的検討

演者 高 涛(千葉大大学院・先端応用外科学)
共同演者 L. Bik ee(千葉大フロンティアメディカル工学研究開発センター), 山口 匡(千葉大フロンティアメディカル工学研究開発センター), 松原 久裕(千葉大大学院・先端応用外科学), 林 秀樹(千葉大大学院・先端応用外科学DELIMITER千葉大フロンティアメディカル工学研究開発センター)
抄録 【背景】近年の腹腔鏡手術の普及に伴い,膵臓に外観上明らかな損傷を伴わないにもかかわらず,術後の膵液漏を来す頻度が従来の開腹手術と比較して有意に高いことが報告されている.その原因として,手術器具による機械的圧迫や超音波凝固切開装置(UltraSonic Activated Device; USAD)などのエネルギーデバイスに起因した膵組織の損傷の可能性が指摘されている.特にUSADはキャビテーションとよばれる組織傷害性の衝撃波を発生するとされ,膵液漏との関連が示唆されている.そこで実験動物を用いた詳細な検討を行った.【方法と結果】全身麻酔下の家畜ブタの膵臓にUSADを作用させ,その後の経時的膵液漏出および組織学的変化を観察した.USAD先端5秒のアクティベートで作成した損傷では,膵組織の凝固壊死を認め,損傷後3時間でアミラーゼ漏出のピークを認めた.USAD側面による損傷では,凝固壊死と共に膵表面に凝固タンパクの付着を認め,損傷直後にアミラーゼ漏出のピークを認めた.【考察】USADによる膵損傷で膵液漏出が起き得ることは明らかとなったが,経時的なアミラーゼ値の減少がみられることや,接触の様式により組織変化の様子も異なることから,USADが腹腔鏡手術における膵液漏の直接的原因となるか否かに関しては更なる検討が必要なものと考えられた.
索引用語 超音波凝固切開装置, 膵組織障害