セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-その他 1

タイトル 外P-112:

切除不能・再発膵癌に対するGEM併用MUC1-mRNA導入DC+MUC1-CTL療法

演者 新藤 芳太郎(山口大・消化器・腫瘍外科学)
共同演者 硲 彰一(山口大・消化器・腫瘍外科学), 松井 洋人(山口大・消化器・腫瘍外科学), 前田 祥成(山口大・消化器・腫瘍外科学), 飯田 通久(山口大・消化器・腫瘍外科学), 坂本 和彦(山口大・消化器・腫瘍外科学), 鈴木 伸明(山口大・消化器・腫瘍外科学), 為佐 卓夫(山口大・消化器・腫瘍外科学), 吉村 清(山口大・消化器・腫瘍外科学), 上野 富雄(山口大・消化器・腫瘍外科学), 吉野 茂文(山口大・消化器・腫瘍外科学), 岡 正朗(山口大・消化器・腫瘍外科学)
抄録 【目的】我々は,切除不能・再発膵癌に対してMUC1-DC+MUC1-CTL療法を行っており,予後の改善を認めた.さらなる予後改善をめざし,2007年よりGEM併用MUCI-mRNA導入DC+MUC1-CTL療法を行っており,その治療成績と予後因子について検討した.【対象】切除不能・再発膵癌の42例を対象とした.【方法】GEMを先行投与し,1週間後にLeukapheresisでPBMCを採取し,付着細胞と浮遊細胞に分離した.前者はGM-CSF,IL-4,TNF-αで成熟DCを誘導し,これにMUC1-mRNAをelectroporationで導入後,鼠径部に皮内投与した.後者は,不活化したMUC1高発現膵癌細胞株(YPK-1)をMMCで不活化したものと混合培養し,IL-2刺激後に経静脈的に投与した.【結果】男/女=21/21,平均年齢63.1歳.CR1例,PR2例,SD23例であり奏効率7.1%,疾患制御率61.9%であった.1年生存率は51.1%でMSTは13.9ヶ月であった.1回当たり3x108cells以上のCTLが移入できた36例では,1年生存率は56.6%でMSTが15.1か月と良好であった(p=0.0060).また,1回当たり1x107cells以上のDCが移入できた35例では,1年生存率は60.3%でMSTが16.1か月と良好な結果が得られている(p=0.0036).生存期間が6か月未満の予後不良群では有意に好中球/リンパ球比が高値を示した(p=0.040).さらに,本療法施行前に肝転移を認めない35例のうち,死亡例も含め肝転移が出現したのはわずか5例であり,肝転移のない症例の1年生存率は56.6%でMSTは15.1ヶ月であった(p=0.0451).細胞療法による副作用は認めず,外来治療が可能であった.【結語】本療法は外来で安全に施行可能で,肝転移を抑制することで生存期間延長に寄与する可能性が示唆された.DCとCTLが十分に誘導できる症例の予後は良好で,本療法のバイオマーカーとなる可能性が示唆された.さらに,宿主の全身性炎症反応の指標とされている好中球/リンパ球比高値が予後不良因子となることが示唆された.
索引用語 膵癌, 細胞療法