セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-その他 2

タイトル 外P-115:

腹腔鏡下インスリノーマ手術に対する選択的動脈内Ca注入法と術中末梢動脈血インスリン値モニタリング併用の有用性

演者 住吉 宏樹(日本医大・外科)
共同演者 中村 慶春(日本医大・外科), 清水 哲也(日本医大・外科), 川野 陽一(日本医大・外科), 吉岡 正人(日本医大・外科), 松下 晃(日本医大・外科), 相本 隆幸(日本医大・外科), 内田 英二(日本医大・外科)
抄録 【目的】当科で施行された腹腔鏡下膵切除術152例の中で,膵内分泌腫瘍に対して31例に施行しており,その中で機能性腫瘍は18例(インスリノーマ15例,ガストリノーマ2例,グルカゴノーマ1例)であった.インスリノーマでは約10%に多発例が存在するため術前・術中の正確な局在診断が重要である.そこで当科では画像診断に加え局在・範囲診断として選択的動脈内Ca注入法(ASVS)を施行し,また術前に描出されなかった多発病変の遺残が無いことを確認するために術中末梢動脈血インスリン値モニタリングを導入している.【方法】術前の画像診断とASVSの結果をもとに術中超音波検査を施行して膵切離ラインを決定した.また手術開始時より30分毎に血中インスリン値をモニタリングし,また膵切除後もモニタリングを継続してインスリン値の再上昇のないことを確認することで腫瘍の遺残病変が無いことを確認した.【成績】腹腔鏡下膵切除術を施行したインスリノーマ15例のうち,詳細なデータ集積が可能であった11例につき検討した.性別は男性1例,女性10例であり,1例に微小病変の併存を認めた.これら11症例・12病巣において各々施行した検査における病巣検出率(描出病巣数 / 病巣数)は,術前CT 72.7%(8 / 11),MRI 66.7%(6 / 9),Angio 80%(8 / 10),Angio CT 88.9%(8 / 9),US/EUS 60%(6 / 10)であったのに対し,ASVS(病巣範囲診断として)では100%(10 / 10)検出可能であった.またインスリン値モニタリングにおいては,膵切除施行後約1時間で血中インスリン値の低下を確認し,切除された病巣を100%(12 / 12)反映可能であった.11症例全例が腫瘍の遺残,再発なく経過している.【結論】インスリノーマに対する腹腔鏡下膵切除術において,術前のASVSおよび術中の末梢動脈血インスリン値モニタリングは,その局在・範囲診断に有用であると考えられた.
索引用語 腹腔鏡下膵切除術, インスリノーマ