セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-その他 2

タイトル 外P-116:

大腰筋横断面積と最大呼気流量を用いたサルコペニアの診断と膵切除術後合併症

演者 古川 大輔(東海大・消化器外科)
共同演者 和泉 秀樹(東海大・消化器外科), 矢澤 直樹(東海大・消化器外科), 中郡 聡夫(東海大・消化器外科), 小澤 壯治(東海大・消化器外科), 貞廣 荘太郎(東海大・消化器外科), 安田 聖栄(東海大・消化器外科)
抄録 【背景】サルコペニアは骨格筋量の低下と筋力低下を伴う症候群であり予後不良因子や合併症発生因子の一つとして報告されている.【目的】サルコペニアが膵切除後の短期合併症に及ぼす影響を明らかにする.【対象と方法】2010年8月~2012年2月に施行した膵切除100例を対象とした.筋肉量は術前CTでの第4/5腰椎椎間板レベルの大腰筋横断面の面積を体表面積で除した値を用いた.筋力は体幹筋力を反映するとされている最大呼気流量で評価した.術前呼吸機能検査の実測値に対し身長と年齢から計算される予測値に対する割合を用いた.男女別に大腰筋横断面積,最大呼気流量がともに下側四分位数以下であった症例をサルコペニアと定義した.【結果】膵切除100例の内訳は平均年齢64.7歳,男女比は52:48.疾患は膵癌49例,IPMN 15例,胆道癌12例,その他24例.術式はSSPPD・PD 65例,TP 3例,DP 29例,その他3例.Clavien分類III以上の合併症は52例に生じていた.TPAは男性570±120mm2/m2,女性386±71mm2/m2と男性で大きく(p<0.01),最大呼気量は男性85.6±19.3%,女性88.9±20.0%で男女差はなかった.大腰筋横断面積と最大呼気量の相関係数は男性でr=0.222,p=0.11,女性でr=0.348,p=0.01であった.サルコペニアは男性8例,女性6例に認めた.71歳以上でサルコペニアが多かった(p=0.04)が,その他の因子(年齢,原疾患,ASA score,糖尿病,BMI,Hb,リンパ球,Alb,手術時間,術式,出血量,輸血の有無)との間に有意な関係はなかった.Clavien分類GradeIII以上の合併症と各因子を単変量解析では,男性,原疾患が膵癌以外,糖尿病なし,術式(DP,核出術),術中輸血あり,サルコペニアあり,が合併症を増加させる因子であり,多変量解析では男性,糖尿病なし,術式,サルコペニアありが独立した因子であった.【結語】サルコペニアは膵切除後短期合併症を増加させるため,術前からの栄養管理やリハビリテーションが重要である.
索引用語 サルコペニア, 大腰筋横断面積