セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-その他 2

タイトル 外P-117:

膵癌予後予測因子としての術前血清腫瘍マーカーの検討

演者 神田 光郎(名古屋大大学院・消化器外科学)
共同演者 藤井 努(名古屋大大学院・消化器外科学), 高見 秀樹(名古屋大大学院・消化器外科学), 末永 雅也(名古屋大大学院・消化器外科学), 山田 豪(名古屋大大学院・消化器外科学), 田中 千恵(名古屋大大学院・消化器外科学), 小林 大介(名古屋大大学院・消化器外科学), 中山 吾郎(名古屋大大学院・消化器外科学), 杉本 博行(名古屋大大学院・消化器外科学), 小池 聖彦(名古屋大大学院・消化器外科学), 野本 周嗣(名古屋大大学院・消化器外科学), 藤原 道隆(名古屋大大学院・消化器外科学), 小寺 泰弘(名古屋大大学院・消化器外科学)
抄録 【背景】膵癌の予後は,拡大手術や積極的な術後化学療法が行われてきたにもかかわらず,いまだ不良である.予後を予測し,高リスク患者を術前に選別するためには,鋭敏なバイオマーカーの検出が必要である.【方法】術前化学(放射線)療法の施行されている症例は除外し,2001年8月から2012年8月までの324例の通常型膵癌切除例を対象として,CA19-9,CEAを含む術前血清腫瘍マーカー値の予後への影響を検討した.また,CA19-9値とCEA値を掛け合わせたCA19-9・CEA係数(CA19-9×CEA)についても同様に検討した.各因子の異なるカットオフ値における予後予測能を,ハザード比,ROC曲線,集団寄与危険割合によって比較した.【結果】術前CA19-9・CEA係数は,カットオフ値を中央値(500)に設定した場合においても強い予後への相関性を示した.CA19-9・CEA係数 500以上は,各種臨床病理学的因子を含めた多変量解析において,独立した予後不良因子であった(ハザード比 1.642, P=0.021).CA19-9・CEA係数は,TS2以上,膵前方組織浸潤,膵後方組織浸潤,門脈浸潤およびリンパ節転移を認める症例で,有意に高値であった.各マーカーの術後早期死亡との関連性を調べたROC曲線分析では ,CA19-9・CEA係数が最も高い適合度を示した(AUC = 0.702).CA19-9・CEA係数 500以上は,CA19-9およびCEAを加えたさまざまなカットオフ値における比較においても,最も高い集団寄与危険割合を示し,高い予後予測能と検出能を併せ持つことが示された.【考察】今回の結果から,術前CA19-9・CEA係数は膵癌において鋭敏な予後予測マーカーとなりうることが示唆された.CA19-9・CEA係数は予後不良となる高リスク症例の選別を可能とし,術前化学療法を含む適切な集学的治療の選択に寄与しうる.
索引用語 膵癌, 腫瘍マーカー