セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-その他 2

タイトル 外P-118:

膵頭十二指腸切除術における再建術式 ―膵胃吻合の有用性―

演者 蒲原 行雄(国立長崎医療センター・外科DELIMITER国立長崎医療センター・臨床研究センター)
共同演者 平山 昂仙(国立長崎医療センター・外科), 野中 隆(国立長崎医療センター・外科), 渡海 由貴子(国立長崎医療センター・外科), 徳永 隆幸(国立長崎医療センター・外科), 遠山 啓亮(国立長崎医療センター・外科), 北島 知夫(国立長崎医療センター・外科), 佐伯 哲(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 阿比留 正剛(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 原口 正史(国立長崎医療センター・外科), 前田 茂人(国立長崎医療センター・外科), 永田 康浩(国立長崎医療センター・外科), 八橋 弘(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 藤岡 ひかる(国立長崎医療センター・外科)
抄録 はじめに)膵島十二指腸切除術においては膵液瘻の克服が重要問題である.特に進行癌では術後合併症は集学的治療の機会を遅らせる大きな原因となる.われわれは膵頭十二指腸切除術の基本再建として膵管粘膜吻合を併用した膵胃吻合を導入してきた.今回その有用性を検討した.対象と方法)2007年から2012年間に当院で膵頭十二指腸切除を実施したstage II以降の膵頭部領域癌治癒切除46例(膵癌20例,胆管癌16例,乳頭部癌10例)を膵胃吻合(PG)群と膵腸吻合(PJ)群,再建法,術後合併症{膵液瘻(Grade B以上),胃内容排泄遅延(Grade B以上),SSI},術後1年以降の糖尿病発生率(HBA1c6.2以上)および術後生存率について検討した.また,合併症発生群と非発生群における術後補助療法導入率および生存率についても比較検討した.結果)術式は膵腸吻合19例(膵管嵌入式12例,膵管粘膜吻合7例)膵胃吻合27例であり,全胃幽門輪温存34例,亜全胃温存7例,通常型5例で全例結腸前再建であった.術後合併症としては,膵液瘻はPG群で有意に低く(PG群11% vs PJ群31%,p<0.05),胃内容排泄遅延もPJ群では21%に対しPG群では認めなかった.SSIはPG群で有意に低かった(PG群14% vs PJ群41%,p<0.03).糖尿病発生率はPG群で8%,PJ群で11%と同等であった.術後補助療法は,合併症非発生群では51%に実施されたのに対し発生群では9%であった.生存率では,特に膵癌例 (n=20 )では実施症例は非実施症例に比し良好であった(1年;実施100% vs 非実施50%,3年;実施58% vs 非実施0%).補助療法実施症例中,膵癌症例の60%は膵胃吻合施行例であった.結論)膵頭十二指腸切除後の膵胃吻合再建は手術合併症を軽減するのみならず,補助療法の早期導入にも繋がる.特に膵癌治療において有用性大と考えられた.
索引用語 膵頭十二指腸切除, 術後補助療法