セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
膵臓-症例 1
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タイトル |
外P-121:肝外胆管切除後の難治性膵液瘻に対し,経皮経十二指腸的膵管ドレナージにより内瘻化に成功した1例
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演者 |
水口 知香(栃木県立がんセンター・外科) |
共同演者 |
白川 博文(栃木県立がんセンター・外科), 富川 盛啓(栃木県立がんセンター・外科), 尾澤 巌(栃木県立がんセンター・外科), 菱沼 正一(栃木県立がんセンター・外科), 尾形 佳郎(栃木県立がんセンター・外科), 山本 孝信(栃木県立がんセンター・画像診断部) |
抄録 |
症例は80歳代女性.高血圧で近医通院中に肝機能異常を指摘され,当センターを紹介受診した.既往歴は早期胃癌及び胆のう癌に対し,21年前に幽門側胃切除Billroth-I法再建,胆摘および肝十二指腸間膜郭清を施行されていた.当センター精査により,中下部胆管癌の診断で手術を行った.手術所見では主病巣は膵浸潤を認めず,患者は高齢でもあり,膵頭十二指腸切除を回避し肝外胆管切除,肝管十二指腸吻合による胆道再建術を施行した.術後経過は良好で術後12日目に肝管十二指腸吻合部背側に留置していたドレーンを抜去した.術後15日目にはドレーン抜去部から感染性排液を認め,術後25日目に再度ドレーンを瘻孔部に挿入留置したところ,膵液の漏出を認めた.感染は軽快したが,連日100~200mlの膵液排出が続いた.ドレーン造影により拡張した主膵管が造影され,術中に損傷した主膵管からの膵液漏出と判断した.ERPを試みるも主膵管は完全閉塞しており,副乳頭からのカニュレーションも困難であった.また,ドレーンを介して,主膵管側から十二指腸への内瘻化も同様に困難であった.CTガイド下に経皮経十二指腸的に主膵管を穿刺し,ドレナージチューブを留置した.これにより主膵管と消化管の瘻孔が作成され,内瘻化に成功した.以降,膵液瘻は軽快しドレーン抜去後も経過は良好で,術後75日目に軽快退院した.膵・胆道領域の手術では術後膵液瘻は頻度の高い合併症のひとつで,主膵管損傷が原因の場合には難治性で致命的にもなりうる.本症例のように,経皮経消化管的主膵管穿刺ドレナージが内瘻化に有効であった症例の報告は稀である.内視鏡的アプローチが困難な場合の有効な手段として文献的考察を加え報告する. |
索引用語 |
膵液瘻, 内瘻化 |