セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-症例 1

タイトル 外P-122:

膵内副脾に発生したEpidermoid cystの1例

演者 宮本 匠(島根県立中央病院・外科)
共同演者 伊藤 達雄(島根県立中央病院・外科), 豊田 英治(島根県立中央病院・外科), 播摩 裕(島根県立中央病院・外科), 福垣 篤(島根県立中央病院・外科), 森野 甲子郎(島根県立中央病院・外科), 長田 絢子(島根県立中央病院・外科), 信藤 由成(島根県立中央病院・外科), 杉本 真一(島根県立中央病院・外科), 高村 通生(島根県立中央病院・外科), 武田 啓志(島根県立中央病院・乳腺科), 橋本 幸直(島根県立中央病院・乳腺科), 徳家 敦夫(島根県立中央病院・外科)
抄録 【はじめに】脾周囲の副脾は日常診療で比較的よく遭遇するものであるが,膵内の副脾に嚢胞が生じることは稀である.今回われわれは,膵内副脾に発生したEpidermoid cystの1例を経験したので報告する.【症例】患者は50歳台女性.検診で貧血を指摘され当院内科を受診した.その際のCT検査で膵尾部嚢胞性病変と子宮筋腫を指摘された.貧血は子宮筋腫による慢性貧血と診断された.腹部造影CT検査では膵尾部に53×50mm内部は均一な低濃度嚢胞性の病変があり,MRCP検査では膵管拡張はなく, CT同様に膵尾部に主膵管と交通しない病変を認めた.CA19-9は104U/mlであった.定期的な画像検査を行い,1年間の経過では病変に変化は認められなかったが,悪性腫瘍の可能性も否定でないため,本人,家族と相談し腫瘍摘出術を行った.手術所見では膵尾部に約60mmの嚢胞性病変を認めた.脾を温存し膵尾部の辺縁の膵組織を一部合併切除する形で腫瘍摘出した.病理組織検査で嚢胞周囲を全周性に膵組織が取り囲んでおり内部に脾臓組織と膠原線維性の壁を伴い,内腔を扁平上皮がliningしていた.以上より膵内副脾に発生したEpidermoid cystと診断した.術後経過は合併症なく術後10日で退院した.【考察】副脾は全剖検例の約10%で認められる病変であり,脾門部周囲に存在することが多いが,そのうち約16%は膵尾部に存在するとされている.またEpidermoid cystなどの嚢胞性病変が脾臓組織に発生する頻度はわずか0.5~2%で,そのうち1/3が副脾に存在しているとの報告もある.総じて膵内副脾に発生したEpidermoid cystは非常に稀であり,検索し得た限りでは30例に満たなかった.本疾患は良性疾患ではあるが,本例のように術前診断が非常に困難で外科的切除が行われることがほとんどである.以上,膵内副脾に発生したEpidermoid cystの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 膵内副脾, Epidermoid cyst