セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-症例 2

タイトル 外P-127:

消化管出血による貧血で発症し,診断に難渋した膵腺房細胞癌の一例

演者 中村 洋一郎(明石医療センター)
共同演者 荻野 充利(明石医療センター), 小管 浩文(明石医療センター), 福田 善之(明石医療センター), 西 将康(明石医療センター)
抄録 はじめに;膵腺房細胞癌は腺房細胞から発生する発生頻度が1%と比較的稀な膵外分泌腫瘍である.今回消化管出血の症状で発症し,診断に難渋した症例を経験したため報告する.症例は74歳男性.H24.10月,労作時の呼吸苦と血便を主訴に近医を受診した.高度の貧血を認めたため,精査目的で当院紹介となった.上部消化管内視鏡では十二指腸下行脚の近位側に,粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.隆起の中央には深い潰瘍を有し,出血の原因と考えられた.CTでは膵頭部と胃幽門部との間に径10cmに達する巨大腫瘤を認め,十二指腸内腔は亜閉塞の所見であった.精査の結果,十二指腸由来の巨大粘膜下腫瘍と診断され,出血制御の必要性から手術目的で当科紹介となった.11月上旬開腹術施行した.腫瘍周囲の剥離を進めていくうちに,腫瘍が膵より発生していると判断した.十二指腸を巻き込み悪性腫瘍の可能性もあると考えられたため,膵頭十二指腸切除術を施行した.病理所見では各種消化酵素は陰性で,診断に難渋することとなったが,少数ながら細胞質内にPAS陽性の顆粒を有す細胞を認めたため,低分化型の腺房細胞癌と診断するに至った.現在,術後化学療法を行い外来フォロー中である.
索引用語 膵腺房細胞癌, 消化管出血